03パンフレットの目的別作成方法

パンフレット作成のポイント

03パンフレットの目的別作成方法

様々な目的・用途に対応するパンフレット

パンフレットといってもその役割、目的・用途は多種多様です。その目的として最も多いのはやはり企業の営業活動や商談。百貨店やショッピングモールではフロアガイド等の案内・認知目的、企業・官公庁の新卒採用目的、大学・高校・学園・専門学校・塾の募集目的、展示会目的、グローバルビジネス目的、ダイレクトメール用途としてのパンフレット、資料請求や集客目的、レアケースですが、企業の創業・周年記念パンフレット、マニュアルパンフレット、映画パンフレット...、
このように意外と使用する目的・用途が多いことに気付かされます。
このように目指すもの、得たいものが異なるわけですし、見せたいターゲットも様々です。そうなれば当然パンフレットのコンセプトやコンテンツ設計、デザインも大きく異なるはずです。従ってそこには顕在情報、マスト情報のファクトだけではその価値は標準レベルです。弊社のパンフレットづくりは常に企業や製品・サービスのブランディング要素を付加すること、それに伴いはじめて差別的優位性、或いは見せたい人々に好感という情緒を形成させると考えています。
以降でその代表的な目的・用途のパンフレット作成ポイントをご紹介します。

BtoB・営業ツールとしての目的

営業パンフレットと言えどもプロダクトブランドが大事

セールスパーソンによる営業活動の支援・必携ツールとして。これが営業目的に求められるパンフレットの存在でしょう。
製品情報・サービス情報のファクト情報だけでなく、その特徴や機能性、ベンチマーク・相対情報、コストパフォーマンス、導入提案、ケーススタディ等々、必要に応じて、その要求レベルに応じて深く言及します。
さらにセールスパーソンの使用する場面や使い方も、きちんと要件に含まなければなりません。
商談の全てにわたって使用する、
最も核になるクライマックストークで使用する、
個別資料のPPTと併用で使用する、
或いは、新人営業マンのお助けツール、レベルアップ底上げツールとして使用する、
トップセールスで使用する、
展示会・イベントで立ち話で使用する...。
その他にも様々なシチュエーションがありますが、いずれにしてもどんな目的に、誰が、いつ、どこで、何を、どのように使用するのか、5W1Hで定義し最適化することではじめて効果を発揮する機能的パンフレットが実現します。
さらにこれにプロダクトブランディング、サービスブランドに立脚したブランディングデザインやコピー表現をクリエイティブすること、つまり機能とブランディングがうまくブレンドされることが、期待効果を高めます。

製品パンフレットデザイン
ヤンマーエンジニアリング株式会社 様 法人営業パンフレット表紙デザイン
パンフレットデザイン
商談に最適化した観音折り三面構成

船舶搭載エンジンの管理サポートシステムをコンテンツとする法人営業用パンフレット。商談対象が造船会社や船舶会社のエンジニアで、専門性が高い情報構成だが、7項目のナンバリングで商談プロセスに沿ったコンテンツ構成にしている。因みにコンテンツの3,4は観音ファーストオープン右ページに掲載していて、ここでは省略している。

パンフレットデザイン
朝日航洋株式会社 様
パンフレットデザイン
ターゲットは法人エグゼクティブ

ビジネスジェットのチャーター飛行を、新規顧客獲得を進めるためのBtoB法人営業・販促用パンフレットとポケット付ファイルの組合せです。世界を股にかけビジネス展開するエグゼクティブ向け、ラグジェアリーデザインのパンフレット。

新卒採用目的

企業説明会・合同説明会がパンフレットの本番

昨今、企業の採用活動シーンは加熱の一途を辿っていますが、企業説明会や合同説明会がこの採用パンフレット、入社パンフレット、リクルートガイドと言われるパンフレット使用の本番です。このような環境で、社内オフィスイメージ、先輩社員紹介、社内活動紹介等の従来的な情報構成だけでは効果は期待できません。
そもそも説明会場に訪れた学生に手渡して終わり、になってしまってはその存在すら価値はありません。
主役にはなれないもののその存在価値は、人事・採用担当者の支援ツール、もっと言うと採用説明プレゼンツールであるべき、これが弊社の基本的な見解です。
その在り方は多様な切り口がありますが、
ターゲット学生の眼に留まり会場ブースに立ち寄らせるキャッチ―さを求める、
会場から自宅に持ち帰っても、会場での共感度・好感度を維持させるもの、
会場ブースに集まった学生へ、人事・採用担当者の説明ツールになるもの。
このようにパンフレットのミッションをどこに持っていくか、自社の知名度・規模・業種・募集職種等の現状認識に基づき、精査が必要です。

パンフレットの準備・投入タイミングも大事

新卒採用活動の実施時期、採用企業説明会の参加タイミングによって、採用パンフレットの投入時期が大きく変わります。経団連「採用活動指針」遵守型の3月広報活動・6月選考活動に沿った展開、これは経団連加盟の大企業・中堅企業。自社設定のスケジュールで活動する通年採用、これは経団連未加盟の大企業や外資系企業。また経団連指針の3月広報活動開始以前に活動を実施する、先行逃げ切り型。内定辞退を補充する夏・秋採用。一方で中途採用・第2新卒採用等々、いずれも採用パンフレットを使用するタイミングの3ヶ月前、遅くとも2ヶ月前には作成着手をしたいものです。

採用ブランディングのススメ

この激化する採用戦線を戦い抜き、合同説明会場で同業社・参加企業に埋もれない存在感。自社の強みや差別性のコンテンツで、学生に強い共感を与えられるもの。採用パンフレット・入社パンフレットと言えども、もはや採用ブランディングの取組み無しには、手渡しておしまい、という魅力など程遠いものとなってしまいます。

採用・入社パンフレット
メガ株式会社 様

採用・入社パンフレット。別途弊社にて作成した会社案内とのハイブリッド起用が、採用に一層の効果をもたらしている。

採用・入社パンフレット
インフィニティマークが学生のインタレストを喚起

オフィシャル会社案内(16ページ)でもこのインフィニティマークが主役。新卒学生は自ずと興味を抱かざるを得ない。まさにこれが企業ブランディングと採用ブランディングのベストマッチングと言える。合説会場で人事・採用担当者は、学生からこのマークの意味の質問攻めに逢う。

学生・生徒募集の目的

スクールブランディングを軸に考える

スクールブランディングとは、大学・高校・小中学校・専門学校・塾・スクール等の好感イメージや差別性を、学生・生徒、その父兄の情緒に溶け込み、刷り込ませていく取組みです。
学校案内・学校パンフレットのコンテンツが、明るく活動的なキャンパスの雰囲気、楽し気な学生や生徒、学部・学科紹介、スポーツ・サークル活動の活躍、等ということは否定はしませんが、これらはあくまでもファクト情報であり学校のスペックでしょう。これだけでは競合校や他校との違いを出すことは限定的です。
建学の理念、教育方針・教育哲学等のスクールアイデンティを基盤に、社会における自校の存在感、他校との相対的差別性・優位性に深くフォーカスを当て、今一度そこを明確に定義する作業が、スクールブランディングの考え方です。
他校との”差別的優位性”という好感というイメージや情緒を、デザインにより可視化、言語化してメッセージ性を持たせます。そこから学生・生徒の本人に“入学したい魅力”を抱かせる、それだけでなくその父兄・親族にもダイレクトにそのメッセージが届き、意思に作用することとなります。

専門学校パンフレットの表紙デザイン
学校法人 日体柔整専門学校 様
専門学校パンフレット デザイン
全24ページ構成の専門学校パンフレット

弊社にて一昨年度から、当校の学校案内パンフレットに携わる。それまでになかったコンテンツとして、同校卒業後の社会での活躍に大きくフォーカスしたコンテンツ。最終決裁する父兄にもアピールするコンテンツを準備。競合が低迷している中、母集団・入学者数ともに順調に確保できた。

周年記念・創業記念

周年パンフレットで社員もモチベーションアップ

企業の経年価値を社内外に発信する手段として、弊社では「周年記念パンフレット」を提唱しています。上製本にして格調高く、というのもそれはそれで悪くはありませんが、厚さや重さがあり、儀式的なものとしてあまり見られることもなく本棚に。そこを少々発想を変え、パンフレットにすることで、手軽にコンパクトにすることで、関係者・取引企業、また社員だけでなくその家族にまで浸透し、企業を見直す機会、さらに次世代に向かって進む原動力にも転換させます。特に社員一人ひとりに配布できるパンフレットは、社員の帰属意識を高め、仕事への意欲を高揚させる効果も期待できます。そういう意味からも周年記念パンフレットは、企業の足跡・一里塚を祝い、 さらに未来へ向け前進することを宣言する、非常に手軽な広報物と言えます。

周年パンフレットの表紙デザイン
周年パンフレット デザイン
周年パンフレット デザイン
医療法人清心会 山本病院 様の100周年記念パンフレット

表紙デザインは木目調の年輪を刻む、格調高いブランディングデザイン。両観音折り4面のフルオープンイメージは、100年を辿るにこれで十分過ぎる。一覧できるためその全容が簡潔に見渡せる。上製本では叶わない表現方法。

資料請求・DM

パンフレットに仕事をさせること

Webサイトや雑誌広告から資料請求を受けて送るパンフレットも、DMで送るパンフレットも、共通して言えることは、パンフレットに仕事をさせることです。言い換えれば、営業パーソンが必携し、商談途上で活かすパンフレットは、営業パーソンの脇役を務めればよいわけですが、資料請求・DMではパンフレットが主役です。情報構成、ページ構成、理解から共感に導くプロセスづくり、さらに情緒的に好感を高めるブランディング要素、これらの全てを、資料請求やDMを行うターゲット、いわゆるペルソナを想定して、そのペルソナにはどのように語りかけると理解してもらい、共感から問合せや購入アクションにまで導くことができるのか。この設計図をきちんと描けないと、開封は良かったが、リターンが得られなかった、という結果に陥りやすくなります。

DMパンフレット
株式会社タカヤマ 様のDMパンフレット

環境・産廃事業の大手生産工場向けDMデザイン。同社様若手社員に参加いただき、仕事の七つ道具を身につけ、「環境洗隊タカヤマン」と称して各々ポーズをとってもらう。開封率、反響率ともに向上した。

資料請求パンフレット
アイペット損害保険株式会社 様の資料請求パンフレット

二つのペット用保険商品の区別が、ユーザーにわかりにくかったことに対する、弊社の提案でできたパンフレット。まさに資料請求でパンフレットに仕事をさせ、ユーザーに齟齬なく、スピーディーに理解を促し、問合せ、申し込みにつなげるミッション。

グローバルビジネス目的

ブランディングデザインとネイティブ翻訳

欧米へのグローバル展開として、事業進出、展示会・見本市出展、現地法人設立など、日本版製品パンフレットをネイティブで翻訳したから欧米向き、一見うなずけそうですが、それで完璧ではないと考えます。日本人は機能重視、技術が重要という感性ですが、欧米人はその機能・技術のファクト情報もさることながら、その根底に潜在するブランディングにも着目し、大事にします。当該製品やサービスのパンフレットを目の当たりにした時、そのカラーリング、文字表現(タイポグラフィ)、言語表現(コピー)、それとそのプロダクトブランドを反映したブランディングデザインです。もちろんそこには欧米人の好むデザイン性も加味される必要はあります。従って英語翻訳し、デザインは日本版のまま、というのでは物足らなさを感じるかもしれません。
このことは欧米人が初対面でも気軽にファーストネームやニックネームで呼ぶことや、製品やサービスにペットネームを付けることに象徴されます。因みに日本ではペットネームが少なく、型番や英数表記が多く用いられる傾向にあります。
ネイティブ翻訳については当然と言えば当然で、例えば海外からDMメールなどが届いた時、そこに普段遣いではないたどたどしい文章や、助詞など文法上間違った表現などが記載されていると、よさそうな製品やサービスでも、私たちは信用できないレッテルを貼ってしまうものです。

海外事業パンフレット デザイン
ブリヂストン株式会社 様
海外事業パンフレット デザイン
海外事業パンフレット

「Excel Series」という製品名、その製品名をロゴタイプ化し、表紙から12ページ全域に起用した。色遣いに加え、情報のグルーピングと空間をダイナミックに使う表現力が、グローバルトーンたる所以。

海外展示会出展に向け制作したパンフレット
クレコンメディカルアセスメント株式会社 様
海外展示会出展に向け制作したパンフレット
海外展示会出展に向け制作したパンフレット

立ち話でも要点を簡潔に、ということから4ページ構成のパンフレットは、展示会向けに適したスペックとも言える。表紙に日本と世界をダブらせ、日本の象徴たる赤を全面にひき、黒帯でキャッチコピーを抜く。主張が重要な欧米人に強いメッセージを与えたデザインだ。サイズも縦長の規格外。

【NEXT】「パンフレットの業種別作成方法」に続きます。

次のページでは、製造業、建設業、ICTシステム、金融・不動産業、学校・大学・大学院、病院・クリニック等の業種別の作成方法を、事例を参照しながら、わかりやすく詳細にご説明します。

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