CI【MI・BI・VI】の取組みとその価値
唯我独尊?のCI
パンフレット専科BLOGの『ブランド戦略』の記事です。
その第1回目は【CI=コーポレート・アイデンティ】を、
専門知識に寄らないよう、より日常的、実務的に語っていきたいと思います。
その定義は簡単に言えば、
「自社の理念や企業文化、目指すビジョン、またその独自性や価値観などの企業の根源的で本質の要素について、統一した概念やイメージ、デザイン、メッセージで社内外に発信し、これを共有することで、社会における自社の存在感を高めていく企業戦略のひとつ」と言え、
1930年代にアメリカで始められた概念・戦略と言われています。
やっぱり何か学術的で専門的ではないか!
とお叱りの声が聞こえてきそうです。
了解しました。
これを一言で言います。
「我社はこうあるべき!」
「この考えに基づき、これを目指す!」
「それをきちんとカタチに表そう」
ということでしょうか。
外部環境がどうであろうと、競合他社がどうであろうと、
自分たちはこうだ!と言い切ってしまう。
少々ラジカルな表現ですが、
何となくアバウトなアウトラインはおわかりいただけると思います。
ブランディングとどう違うの?
この結論から言うと、
CIとブランディングは似て非なるものです。
一緒くたにされる傾向があるこの二つの要素について、
ここは明確に区別しておきたいと思います。
日本でも80年代にはCI計画が一大ブームとなりましたが、
ロゴマークを作るだけで終わってしまっている、とか、
一方的な自社の存在発信だけで、果たしてやる価値があるのか?とか、
市場での競争激化や、
消費者の価値観の多様性、
などから、
より市場にアクセスする必要性、
もっとマーケットや競合を意識した取組みが求められるのでは?
これが90年代になって、
「マーケットイン」的な考え方の「ブランディング」として衣替えし、
積極的に導入されるようになりました。
ただ今回のテーマはCIですので、
ブランディングはここまで。
次回以降でまた詳しく語っていきたいと思います。
でも、CIはとても重要
このように「我社はこうあるべき!」という、
プロダクトアウト的CIですが、
マーケットでの差別性や独自性を主張するブランディングでも、
諸説はあると思います。
やはりここは、まずこのCIをベースに設計されるべきと考えます。
そのためにもCIの正体を、
もう少しだけ知っておきたいと思います。
先ほど定義は述べましたが、
それだけではCIを具体化はできないし、ましてや企業においてこの際CIを整備してみよう、
というモチベーションにはなりませんよね。
ではそのCIにメスを入れてみましょう。
【MI・BI・VI】に細分化
その中身を覗いてみると、
このCIは、
MIとBIとVIに3分割される、というのが一般的な定説です。
MI=マインド・アイデンティティ/「理念の統一」
BI=ビヘイビア・アイデンティティ/「行動の統一」
VI=ヴィジュアル・アイデンティティ/「視覚の統一」
つまり、
【 CI = MI + BI + VI 】
というCIの方程式が成り立ちます。
『MI:理念の統一』は、
企業の目指すべき理想や、社会の中で存在する価値を表す企業理念、
企業経営における根源的な考え方を定めた経営哲学、
さらに社是、行動指針・行動規範(クレド)、スローガン等を示します。
『BI:行動の統一』は、
それら企業理念や経営哲学などを実現するための方策と言えます。
具体的に言えば、
それら理念や哲学を実現に向けどう具現化するかと言えます。
どの事業分野で、どのような戦略・政策に基づき、
それをいつ迄に、いかほどの経営規模を目指すのか。
つまり経営目標達成のための経営事業ビジョンを、
定量・定性で定義するものです。
『VI:視覚の統一』
これらMIとBIで築きあげられたコンセプトを、
視覚的にシンボルに込めて表すこと。
と言えば賢明なる皆様におかれてはもうお分かりでしょう。
そう!ロゴマークです。
この普段何気に語っているロゴマークのポジショニングを、
これでご理解いただけたと思います。
そのほかに、
ロゴタイプ(社名書体)、キービジュアル、ブランドロゴ、
さらに広義で言えばコーポレートキャラクターやコーポレートカラーの定義も、
このVIの範疇に入ります。
種まきをし、発芽させ、成長して花を咲かせる、
何となく植物の営みに似ていますね。
やはり基本はCI!
ブランディングやコーポレートブランドの取組みがCIよりも主流になり、
マーケットとのコミュニケーションがより重要視されるご時世、
実はこのCIを見直すべきだと、今あえて声高に主張します。
この企業の原点、生業というか、企業の本質を語らずして、何がブランディングだ!
などとそこまで偉そうなことは言いませんが、
少なくともこのCIをきちんと定義するからこそ、
ブランディングという、市場の中でのポジショニングや差別性が明確になるのです。
実はその逆もしかりなんです。
つまりCIを語るにブランディングを強く意識し、
ブランディングを語るにCIを踏まえる、
という相互乗り入れのインタラクティブな関係ではないかと。
と言うと、
そのブランディングの本質に迫らないと、
というお声が聞こえてきます。
全くその通りで、
次回はそのブランディング、
就中、
中小企業のブランディングの取組みを語ってみたいと思います。