営業パンフレットの構成はかくあるべし《事例に見る優れた構成》

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営業パンフレットの構成とは?
そもそも構成とは一定の情報単位をコンポーネントとして
一纏めに集約すること。
然はさりながら、営業パンフレットと言えば、
何といっても営業活動で使い勝手がいいこと、
商談に効果を発揮すること、そして成約に貢献できること。
ここをゴールとして、
コンポーネントをどのように構成するのかが問われるのです。
記事中盤からは構成事例も参照しながら徹底解説!
1. 営業パンフレットの構成を一般論で語っても。。。
営業と一言に言っても業界・業種によって、製品・商品・サービスによって、
また顧客・ターゲットによって千差万別、一般論の最大公約数で語っても普通のお役立ちやテンプレになってしまう。
ヘッドラインで《事例に見る優れた構成》と広言している以上、
営業分野を広げ、且つ成果に繋げることを目的とした営業パンフレットの構成とは?
以降で縷々語っていきますが、その前に成果に繋がらないパンフレットの構成に言及してみましょう。
2. 逆説!成果が出ない営業パンフレットの構成とは?
01. ファクトや顕在情報が中心の営業パンフレット
営業パンフレットの構成内容が、商品・サービスのファクト情報や製品のスペックや機能などの顕在情報だけで、
果たして営業現場で競争力を発揮できるでしょうか?
顧客は「商品・サービスの機能やデータはわかりました。で、その相対的優位点は?ウチで導入するメリットは?」
といったリアクションを顧客にさせてしまう。。。実は枚挙に遑がありません。
営業を仕掛けるターゲット顧客は自社の製品・サービスに対し、何を求めているのか?
どのような情報を欲しがっているのか?
ファクト・顕在情報以外の構成を今一度しっかり精査することが重要でしょう。
02. 売り手の論理で構成している営業パンフレット
売り手の事情や作り手の論理が優先される営業パンフレット。
意外にこのケースは少なくありません。
つまりその企業が言いたいことばかりで紙面構成したり、売り込みたいネタ中心の構成とか。
顧客が欲しい情報は何だ?顧客を動機付けるデータはどのようなもの?
といった視点が欠けているのです。
03. アレもコレもの営業パンフレット
アレも重要、コレも大事、外せない!と拘泥し、営業パンフレットにテンコ盛りすると、
紙面の端から端まで詰め込みオーバーフロー!
何がウリなのか、どの項目に着目すべきか、顧客が欲しいデータはどこに掲載されている?
このような構成の営業パンフレット、皆さん、読む気にならないですよね。
3. 構成の要点は『顧客が何を求めているか?』だ
前項でも少々触れましたが、
営業パンフレットの構成は『顧客が何を求めているか?』を徹底的に洗うこと。
顧客はどのような情報やデータを欲しがっているのか?
どのような課題を解決したいのか?
導入メリットはどれほど期待できるのか?
その他顧客には様々なニーズがあり、ウォンツが眠っているでしょう。
よく勘違いするのが、自社が主催で作るのだから、営業パンフレットは自社が主役で構成を決めるのだ!と。
豈図らんや!営業パンフレットの構成は「顧客」が主役ターゲットであるべきです。
さらに顧客志向の構成内容であればそれで全て良しなのか?
イヤイヤ然にあらず!まだ不足です。
賢明なるビジネスパーソンであれば、最早お分かりのここと。
そう、業種や使用目的によっても大きくその構成は異なることを。
では次項で「業種別」、「目的別」の2要素の構成事例について、作品実績も参照しながらご説明していきましょう。
度々の言及となりますが、よく言う一般論での構成では限界があることを知ることになるでしょう。
4. 【業種別】営業パンフレット構成の決定例
01. 製造業の構成例
製品・サービス |
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生産設備・工作機械 | 専門職・エンジニア | ◎製品・サービスの強み ◎同業他社品との差別性・優位性 ◎課題解決提案 ◎コスト効果・省力効果 ◎取引実績・顧客インタビュー ◎メンテ保守体制 ◎機器開発体制 ◎生産拠点・営業拠点 ◎BCP生産体制 |

新分野への本格進出という新たなニーズを狙う営業パンフレット。同社新開発の表面保護のマスキングテープをもって、新たな市場開拓、新規顧客獲得がプロジェクトのミッション。ターゲットとなるユーザーペルソナは、各種産業の研究開発者、光学エンジニア。それに伴うパンフレットの構成は建築材料や光学・電子材料などへの活用提案、製品素材が持つ実証エビデンスデータ提供による需要創造などがパンフレットの主力構成。同社への綿密なヒアリングで顕在化した要件をパンフレット構成に反映させたのです。
02. 建設業の構成例
製品・サービス |
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土木工事・鋼構造物工事業 | ゼネコン・道路運営管理会社・鉄道会社 |
◎コストパフォーマンス ◎総合工事力・技術力 ◎工程管理・品質管理の差別性 ◎設計開発体制 ◎工事実績 ◎安全管理体制 |

独自の事業モデルを持つ土木建設会社の営業パンフレット。営業の現場で力を発揮する「事業案内」をコンセプトに、同社の主力となる構成内容「提供できるソリューション」をパンフレット冒頭に掲載。しかも同社の主力三事業をスケール感のあるCGデザインで表現したのです。まさに同社の強みの「総合力・技術力」を営業パンフレットの構成の中心に据えたのです。
03. 商社の構成例
製品・サービス |
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食料品(輸入) | 食品卸業・量販バイヤー |
◎世界輸入国ネットワーク ◎輸入原産国の農場・飼育場紹介 ◎海外工場の加工現場・加工方法紹介 ◎輸出国エージェントの声 ◎品質管理体制・食品輸入衛生管理 ◎取引実績・顧客インタビュー |

安全で品質の高い果物・野菜を中心とした農産物輸入商社の営業向け会社案内パンフレット。制作当時は経営者世代交代もあり、「新たな事業ビジョンに基づく企業理念」をパンフレット冒頭の構成テーマとしました。その上で農産物輸入業としての「品質のこだわり」、「鮮度のこだわり」は最もプライオリティの高い構成要素。また農産物の「商品開発」にも取り組む独自のビジネススタイルは、商社としての同社を特徴付ける差別性としてパンフレット構成に含めたのです。
04. IT・通信システム業の構成例
製品・サービス |
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システム開発・運用 | 情報システム担当 |
◎課題状況の顕在化 ◎コスト効果の数値エビデンス ◎省力化導入提案 ◎導入事例と顧客の声 ◎導入ステップとスケジュール ◎導入コストのシミュレーション ◎メンテ保守体制 |

電帳法改正により、同社開発の眼鏡チェーン店向け受発注システムをリニューアルリリース、それに伴った営業パンフレットです。顧客業者は電帳法の理解不足傾向があるため、まず冒頭の構成は二面見開き全面使って「法律の適用」に当てました。イラストやインフォグラフィックで視覚訴求。そして次の構成に同社システムによる「ソリューションプラン」の提案。最終の見開きでは、「料金体系」、「導入Q&A」で締めくくる。営業パーソンのトーク宛らの順序立ては、非常に機能性の高い構成なのです。
05. 不動産業の構成例
製品・サービス |
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不動産管理・売買 | 不動産個人オーナー |
◎同業他社とのサービス差別性 ◎導入のシミュレーション ◎不安払拭のあるあるQ&A ◎取引事例とオーナーの声 ◎担当スタッフ・オフィス紹介 |

地域密着型の総合不動産会社。営業パンフレットの大きな構成は賃貸・管理・売買・相続の4つのサービスです。その上でまずは地域に根ざしたサービス展開情報。そんな地域の不動産オーナーに4大項目の「お悩み解決提案」。それらを一つひとつ丁寧に紐解いて行く構成です。まさに地域密着ならではの営業パンフレット構成です。
06. 金融業の構成例
製品・サービス |
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保険商品 | 保険代理店 コーポレート部門 |
◎保険商品の設計概要 ◎保険のコンセプト・強み ◎競合商品との比較・差別性 ◎コストパフォーマンス ◎代理店向け取り扱いプラン ◎導入実績 |

大手保険会社の営業向けパンフレットです。輸出企業における知的財産権の訴訟費用保険が商品。パンフレットの構成は、企業のアジア諸国進出における知財訴訟のリスクを説き、訴訟ケーススタディを例に保険による費用負担軽減、保険概要、保険制度のQ&A、さらに保険制度のあらましを別紙に振り分け、パンフレットの全体構成としました。パンフレット全域でインフォグラフィックを用い、アジア進出の知財訴訟に不慣れな企業へのオアシスになりそうです。
07. 病院・医療の構成例
製品・サービス |
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検診・人間ドック | 法人企業・官公庁の総務 |
◎検診プランニング設計 ◎検診車巡回対応 ◎先進医療機器・専門医療機材紹介 ◎ドクター紹介 ◎ホスピタリティーサービス ◎院内設備・環境 ◎院内宿泊・食事紹介 |

大阪府内全域の企業や学校をターゲットに、顧客のニーズに応じ、最適な巡回健診サービスを提供するのが特徴の医療法人。事業拡大を狙いとし、企業・自治体・学校などの総務部門を対象とした新規開拓です。4ページと言う最小ページのため、差別性や特徴の構成のみクローズアップして掲載。8両の最新医療機器を搭載した巡回車両の紹介、マンモグラフィーやCT設備など、検診医療の差別性がパンフレット構成の中核を成すのです。
08. 福祉・介護施設の構成例
製品・サービス |
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高級高齢者住宅 | 富裕層の高齢者・親族 |
◎上質なホスピタリティサービス ◎入居者コミュニケーション ◎施設内イベント・コミュニティ ◎食事・施設設備の特徴 ◎立地環境 ◎緊急時の施設内体制と病院連携 ◎入居者の声 |
入居者の上質な暮らしを目指す高齢者向け住宅というコンセプト、所謂「サ高住」。パンフレット冒頭の構成は「施設のコンセプト」。次に4項目の施設が提供するサービス。そして入居希望者やその親族へのメッセージ。フィニッシュはファシリティによるコンフォータブル。やはりこの業界、最後は居住性、快適性なのでしょう。
5. 【目的別】営業パンフレット構成の決定例
では前項【業種別】構成の決定例に続いて、営業パンフレットの目的別構成の決定例に移ります。
以下の6項目で詳細を語っていきます。
01. 新規取引・市場開拓向け
新規営業の商談席上における「営業パーソンのお助けツール」的要素を視点に構成すると良い。従ってやはりアレもコレもではなく、商談シーンでの営業パーソンのトークや、標準的な商談プロセスに沿った構成が効果的。 | |
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構成の要点 | 取引実績が無い不利な点を補う構成 => 挑戦的なコピーや躍動感あるデザインで表現力を高め、取引企業のロゴパレード掲載で実績信頼を醸成 |
構成の例 | ◎製品・サービスの強み ◎課題解決提案 ◎コスト効果・省力効果 ◎事例紹介 ◎取引企業実績 |
02. 既存客・リピーターの販売促進向け
既存顧客は継続的パートナー関係構築、顧客定着促進が営業パンフレットの重要なミッション。その上で前述新規開拓とは大きく異なる構成が求められる。 | |
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構成の要点 | 取引実績の信頼性・関係性を利用する構成 => 別商品・別サービスへの誘導、ブランド定着 |
構成の例 | ◎取扱製品・サービスの一覧・総括 ◎プロダクト・サービスブランド情報 ◎アップセル・クロスセル提案 ◎メンテ保守体制 ◎顧客Q&A |
03. 業者・商品の乗り換えユーザー向け
現取引業者の落ち度・対応の悪さ、製品・サービスのアップデート未対応など、ユーザー企業は現業者の不満足から、次の業者選定は厳しい審査に晒されるため、営業パンフレットの構成はかなり精査を要する。 | |
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構成の要点 | 業者選定に慎重なユーザーへ期待感を与える構成 => レッドオーシャンの攻略 |
構成の例 | ◎同業他社との差別性 ◎同業社比較データ ◎コストダウン・省力化提案 ◎課題解決提案 |
04. 企業規模・信用・実績優先のユーザー向け
現業界のトップブランド、カテゴリートップシェアなど市場での存在感や知名度の高い企業の営業パンフレットの構成。 | |
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構成の要点 | 王道を行く構成 => 業界で知名度がある企業、きめ細かな各論より提供社の権威性 |
構成の例 | ◎プロダクト・サービスブランド ◎独自のビジネスモデル ◎創業・企業ヒストリー ◎取引実績 |
05. 展示会・イベント向け
会場に訪れたユーザーの興味を喚起する、自社のブース前を通過する来場者を引き留め、営業パンフレットを片手に自社の製品・サービスの売り込みに従事する機会。 | |
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構成の要点 | 来場ユーザーへ要点をスピーディに理解させる構成 => 自社ブース前でのハンディング用のリーフレット併用も有効 |
構成の例 | ◎プロダクト・サービスブランド ◎独自のビジネスモデル ◎創業・企業ヒストリー ◎取引実績 |
06. Webダウンロード向け
会Webでダウンロードする営業パンフレットの構成。営業パーソンはその場面には不在のため、営業パンフレット単独で仕事をさせる構成であるべき。印刷不要なため効果検証しながら構成内容はフレキシブルに更新が必要。 | |
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構成の要点 | 問い合わせに繋げる構成 => リードとして確度を高め、フォーム・TELの問い合わせへ誘導する構成 |
構成の例 | ◎製品・サービスの強み ◎コスト効果・省力効果 ◎取引実績 ◎問い合わせ・相談窓口 ◎企業情報 |
あと書き
営業パンフレットの構成が一般論の構成ではダメ!
ということがよく分かったのではないかと。
特にターゲットの客属性によって、構成がここまで大きく変わるのか?
というほど百人百様、千差万別。
逆に言うと、そこまで微に入り細に入りセンシティブに捉える感性が大事。
多様な業種が存在している上に、
どのような目的で市場や顧客を攻めるのか?
同じ商品を取り扱っていても、企業によって攻略方法、戦術が大きく異なる。
王道の営業スタイルでいくのか?
ニッチな隙間戦略をとるのか?
これらをもって驚くほど営業パンフレットの構成は変わるのです。
この際構成については、相談した方がよさそうだとか、話が聞きたい、という営業パーソン、
担当者のお歴々、アイムアンドカンパニーが一肌脱ぎますよ!
<執筆・編集|メーソン>