面白いパンフレットのユーモアデザイン厳選3事例
その裏には緻密に計算された要素が存在していること。あなたの知的好奇心を擽りましょう!

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1. そもそも面白いパンフレットとは?
面白いパンフレットは提供側、作り手の単なるおふざけや軽率なその場凌ぎではないこと。
その裏に実は緻密に計算された要素が存在しているのです。
またパンフレットにおける「面白い」の定義は、単にギャグやユーモアに留まらず、
テーマ設定やコンテンツ表現に「味がある」「粋な」「興味喚起」「納得感」「強い印象力」「深い理解」「共感」等、
人々の心理や情緒に作用するものと言えます。
その表現する要素として、デザイン、コピーライティング、写真などがその主役になりますが、
時にパンフレットの形状や加工の面白さ、用紙選定の面白さなど、
物理的に面白いパンフレットと感じさせる要素までも存在するのです。
2. 悩ましい要件に面白いパンフレットが効果的
然は然りながら、面白いパンフレットと一言で語ってしまうこと勿れ!
面白さのパンフレットづくり、そう容易いことではないのです。
しかしながら、着目する点、課題点、考察を要する箇所に少しフォーカスしてみると、
面白さを追求するパンフレットを作るまたとないチャンスが訪れるのです。
その代表的な要件として、
- なかなか一般では目の当たりにしにくい潜在的な価値を有する商品
- 当たり前に表現してもその奥深さが伝わらないサービス
- 逆にあまりにもよく知られているため他と差別化し辛いビジネスモデル
等々、真反対でも両端の属性を持っている要件、またなかなか悩ましい要件や課題を持つケースが、
面白さを出すことに適しているのです。
ちょっと表現をデフォルメしたり、メタファ的なイメージを用いること、
さらに同じ意味を成すことを全く別のケースに置き換えてみること、
これらによって読み手、人々の深層心理に滲み入り、
「面白い」パンフレットが、いつしか転じて一過性のものではないことに気付くのです。
3. 面白いパンフレットは人生観だって変えるのだ!
01.センスのいい面白さは人のココロも変化させる
高度な科学技術、学問・学術研究、医療・薬品、官公庁、政治・経済などをテーマとするパンフレットは、
言わずもがな、その性質からして、
機械的、論理的、事務的、客観的、機能性といった要素が強く求められます。
ところが広報媒体、PRメディアとしてのパンフレット、そのまま額面通り作ってしまってはいかがなものか?
そこにちょっと面白い、ユーモアなどのエッセンスを加えること、
興味本位だけで奇を衒うことは慎まなければなりませんが、
読み手の緊張感を解し、クスッとさせ、
興味のなかったことさえ、思わず強く興味を抱き、気付きを与える瞬間となる。
ちょっと大袈裟かも知れませんが、自分の思想信条、人生観にも影響を及ぼすことだって希ではないのです。

いずれのパンフレットも、大学部局主催で毎年3月〜5月頃までに開催されるオープンキャンパスで配布するパンフレット。そのターゲットは同学に訪れる中高校生、しかも高校1〜2年生から中学生までも視野に入れる。まだ進学先や学部を具体的に決めていない層。長期のタームで同学の物理学に興味を持ってもらい、目指す大学・学部に意識醸成しようとする試み。両パンフレットでの主役は女子や男子の高校生、彼らの知的好奇心を擽る面白い部局パンフレットを生み出した。
02. 『面白い』の典型例を三つ紹介
モノはパンフレットではありませんが、「面白い」の多様な側面を表す3例を紹介しましょう。
人生観を変えたかもしれない、自身の常識を覆すかもしれない、また思わぬ体験をしたなど。
一つ目は、「もしドラ」のコミック本がかつてベストセラーとなりましたが、
世界的経営学者ピーター・ドラッカー著の『マネジメント』を女子高生目線で描く面白いモチーフ。
全く縁のなかったドラッカーを知る機会となり、読者の知的好奇心を擽る一冊になりました。
二つ目、進学塾において世界史の学科授業に面白さを加え、評判の人気塾講師の座を築いた茂木誠氏。
三つ目は、「永遠の0」や「海賊と呼ばれた男」など、
生涯販売部数累計2,500万部以上を誇るベストセラー作家百田尚樹氏。
現在置かれたシビアな政治情勢、軍事バランスを面白可笑しく描いた「カエルの楽園」。
むしろカエルの意識や行動から、日本人の心理や実態に警鐘を鳴らすほど、寒ささえ感じるものに。。。
4. 面白さはBtoBでもBtoCでもビジネスで有効
いかがでしょう?
ここまでの話の中で、強ち “面白い” パンフレットが安易なことではないことが分かったでしょう。
むしろ使い方や活かす機会によっては、BtoB、BtoC、GtoC、BtoGなどビジネスでも絶大なる威力を発揮するのです。
では以下で少し具体的に言及してみます。※GはGovernmentで公共機関
01. ブランドイメージの向上
例えばニッチなマーケットだが、業界でトップブランドを誇る企業。
実は製品やサービスの専門性が高く、その仕組みやロジックが難解なため、ターゲットの理解が得にくい。。。
企業のパンフレットに、センス良い言い換えの面白さや、例証のユニークさを加えたらどうでしょう?
一転、製品・サービスの差別性・優位性の本質や価値が顕在化し、ブランドイメージの向上や醸成に繋がるのです。
ビジネスにおいて新たな顧客創出、新規市場開拓に大変有利に働くでしょう。
02. 求職者のエンゲージメント向上
企業の新卒採用活動においては、面白い採用パンフレットが学生の心を掴み、
エンゲージメントを高める重要なツールとなります。生真面目な採用パンフレットももちろん重要なのですが、
Z世代、スマホ世代の学生はむしろチョットくらい遊びのある、面白い採用パンフレットに興味を喚起されます。
もちろん企業理解不足がないよう、パンフレットの構成に工夫を凝らすことは言わずもがな。
況んや、創業エピソードや企業ヒストリー、企業理念・哲学、成長戦略・ビジョン、
そして働く社員の熱意に面白さをフォーカスする採用パンフレット、いかがですか?
03. インナーの企業ロイヤリティ向上
例えばパンフレットに類する社内報、社史・周年誌パンフレットに、
自社のMVV、企業アイデンティティ、社員の仕事ぶりにフォーカスした面白さを採り入れるのです。
パンフレット類を目の当たりにした社員は、今まで気づかなかった会社の良さを知り、
会社の「人間性」に気づかされる機会となるのでしょう。
ではここからは面白いパンフレットをデザイン事例で見ていきましょう!
この記事で語ってきた「面白い」を実感できるでしょう。
事例1. 【Up & Down】が面白いパンフレット
オムニテクノ株式会社 様|一般機械器具設置・保守事業《大阪市》

大規模な物流倉庫内で稼働する荷物リフターの設置施工から保守管理を事業とする企業。
同社の採用パンフレット制作事例です。
これが頗る面白い!パンフレットの隅々まで遊び心や仕掛けが満載なんです。
まず冒頭から大阪らしいノリのビッグマウス!「ニホンを支えるカイシャです。」のキャッチ。
次に最初のページを開いた右上にある↑OPENと書かれた突起。
これを摘まみ押し上げると折り込まれた紙面が現れ、一気に縦長になるギミック。
そこには同社取り扱いの荷物リフターのイラストが現れ、
周辺にはなんとも自由奔放でコミカルな動きをする社員の姿。
ナルホド〜、背の高い縦長の荷物リフターだけに紙面も縦長にし、
リフターの全貌が上下くまなく描けるよう工夫、働く社員の主戦場をリアルに表現したのです。
そこには弊社クリエイターの面白く、コミカルでも求職者へのメッセージ性はきちんと押さえた。
そのココロは如何に?
やはり裏方に徹した同社の特徴あるビジネスモデル、事業の社会的価値は一般求職者から非常に見え辛い。。。
求職者から仕事、職場、特徴が見えないと、言わずもがな、求人応募には繋がらない。。。
この命題に対し、仕事を見える化し、主戦場を赤裸々に語り、
そして求職者へ企業理解を促し、入社願望へと繋げる。。。しかも大阪のノリで面白可笑しく!
その一心での成せるワザなのです。

事例2. メンズ同士のソーシャルダンスの面白さ。。。
アルファテックス株式会社 様|ITコンサルティング事業《東京都》

表紙デザイン、中面デザインと会社案内を収納するフォルダー。この時点では面白いというより、んッ?という疑問符。このあと中面で「あ〜、そういうことか」と、その解を納得感で知ることとなる。ある意味、メタファな表現方法で面白さと共に、企業のビジネスモデルを深く知ることに一役買うことになっている。

面白いというのか?ちょっと妖しいというのか?会社案内パンフレットの表紙デザイン。
実はこのダンスのポージング、同社の代表(右)と顧客企業の社長(左)なんです。
つまり同社は顧客企業と深く、緊密な関係性を築くという、
同社の顧客政策がその根底に存在するという、ナント言う奥深さ。
その顧客との関係をこの会社案内パンフレットの表紙で敢えて表したのです。
会社案内の存在、それは一般的な企業のオフィシャルな会社案内、いかがでしょう?
少なくともこんな狼藉? 元い、面白く意表をつくような会社案内があるでしょうか?
実は同社代表、顧客企業代表、さらに弊社担当クリエイターは、企画コンセプトに基づいた会社案内づくりだから、
至って真面目モードであり、別にウケ狙いの面白いビジュアル訴求ではないんです!
この会社案内作品も事業モデルや秀でた特徴を著す手段として面白さを巧みに活かしているのでしょう。
事例3. 大衆週刊誌風な会社案内デザインは面白くも中身は正統派
ミカサ金属株式会社 様|橋梁・鋼構造物の製作・施工業《大阪府》

どこが会社案内だ?という怒号が聞こえてきます。
週刊誌か?しかも怪しいゴシップもの?
イヤイヤ、正真正銘、実は正統派の会社案内なんです!どこが?と言われそうですが、
よーくその紙面をご覧あれ。ふ〜む。。。
その実同社、橋梁をはじめ鋼構造物の製作を手掛ける硬派なメーカー、しかもB2B、BtoG企業。
就中、toGの場合、むしろこんな面白さをモチーフにしても意味がない。。。
むしろよほど実績や技術力の裏付けがない限り、信用性を失墜しかねない。
それを押してまでもここまでやるか?という振り切りようです。
ところがどうでしょう。よ〜く各ページを読み込んでみると、意外や意外、
とても微に入り細に入り顧客の課題、お困り事、或いは気付きの提案で構成されている。
それを大胆に面白可笑しく、
しかも「〇〇砲」のような特ダネ記事風誌面デザインにしたから、もう大騒ぎ。
どう見ても同社の会社案内、正統派で王道を往く会社案内なのに、
表現方法にちょっと変化球を加えただけで、良きにつけ悪しきにつけグンとその存在感が増し、
ターゲットや読者の印象づけ、認知向上に一役買うのですねェ〜。

あと書き
面白いパンフレットの意味するところ、少しだけ掘ってみました。
表層的な形式だけではない、面白さの源流を理解してもらったと思います。
そうでなければ、キャッチセールスのような、
単にその場凌ぎであれば読み手は錯誤を生んでしまう。。。
さすがに弊社クリエイターはそんなリクエストはお断り!
面白いに潜む御社のアイデンティティ、
製品やサービスの強みをユニークに、ユーモラスに、
そして面白いパンフレットにしてほしい。
というオーダーがあれば、我々の知的好奇心はメラメラくるのです。
<執筆・編集|メーソン>