営業・マーケティング-9

カタログ制作の【費用相場】と【業者の選び方】マニュアル

カタログの制作費用にかかる構成要素を解説し、
制作費相場を導き出していきます。
一方でカタログを制作する業者によって、
その捉え方や価格帯は大きく異なります。

ではなぜそのような事態が起こるのか?
実際に自社に相応しいのはどのような業者か?

カタログ制作費の相場感を知るだけでなく、
様々なタイプのカタログ制作業者を知り、
自社の要求、予算感に見合った業者選定にまで活かしてください。

1. カタログ制作費の構成要素

まずカタログの制作費を決定づける構成要素を説明します。
それらの要素一つひとつは全て制作費の建値になっている要件ばかり。
つまりそれらを知ることで、
“なるほど〜、カタログはこうして作られるんだ。”
と理解するだけでなく、費用のコストダウンにも活かせるものです。
ということから始めます。

01. 見積に必要な要件を知る

最終仕上がりのカタログを構成している要素、
大きく区分すると【コト|クリエイティブ】【モノ|カタログハード】
それらの制作には工数が発生するわけで、工数=コストなのです。

以下にコスト要因を列記してみましたが、それらの合算が最終的な制作費総額、つまり見積額となります。

コト・モノの要素チャート

では次項でこれらの要素をコト・モノ別に一つひとつ要点解説します。

02. 【クリエイティブ|コト】要素の解説

費用が発生する要件を制作・作業順に沿って解説していきます。

現状分析・情報データ整理

現状のカタログをリニューアルする場合、
製品・サービスのカテゴライズやユーザビリティに課題が無ければ、ここをスルーしても可。
ただし現状に課題が存在している、或いは新規作成の場合、
特に多品種、複雑なカテゴリー群の場合、製品カテゴリーやグルーピング等、
散らばっている情報や不整合なデータを整理すること
は、制作会社の最初の重要な仕事。
もちろん発注者で全て事前準備され、それが最適と考えられれば不要でコストは0となります。

全体設計・企画構成

整理された情報・データを受けて、カタログのモノ・コトを含めた全体の最適設計を行います。
ビル建築と同じで、ここで最終仕上がりのクリエイティブや各素材の設計図を描きます。
カタログづくりにあたって非常に重要なフェーズですので、設計図は納得いくまで揉んでいくべきです。
一部商品差し替え、改版程度のリニューアルコストは最小限で済む場合もあります。

基本デザイン制作

企業ブランド、製品・サービスブランドやCIを踏まえ、デザインコンセプトを立案します。
その上で、表紙〜インデックスページ〜扉ページ〜企業情報等のデザイン、キービジュアル、
さらにノンブルや小口など各パーツまでの基本デザインを設計します。

情報レイアウト設計

言わばカタログの本稿となる、
製品情報・サービス情報、各々個別のレイアウト、情報・データの基本設計を行います。
個別の製品名、製品画像、型番、仕様諸元、CAD図、特徴…等、
基本となるテンプレートを主力・準主力で、複数パターンを基本設計しておきます。
特に複数のカテゴリー群、大量の製品点数の場合、この時点で緻密な設計が必要でしょう。

撮影

新製品、リモデルした製品は撮影の対象となりますが、
カタログの場合、写真撮影は“ブツ撮り”が主体となります。
撮影点数、スタジオ撮影、スタイリスト・助手の有無、複数箇所の出張撮影等がコスト対象となります。
もちろん発注者契約のカメラマンでの撮影で、レタッチされた画像データ引渡しであれば費用は発生しません。
ただし刷物からのスキャン使用は、品質的にも著作権的にも避けるべきです。

コピーライティング

大きく二通りのコピー制作となります。
一つは製品やサービスブランドに立脚するキャッチコピー、タグライン、ブランドメッセージ、
さらにリードコピーや本文ライティング。
もう一つは個々の製品・サービス情報における特徴・紹介ライティングです。
全製品の特徴・紹介文を掲載したい場合、製品点数分の費用発生となります。

量産DTP(Desk Top Publishing)

前述「情報レイアウト設計」でフィックスさせたテンプレートを流用し、
製品・サービス情報を量産する、言わば“チカラ仕事”の領域。
もちろん主力製品や新製品等は特設的な個別レイアウトとなることもあるでしょうが、
大量の製品をレイアウトしていく、最も時間と工数を要する作業フェーズで、コスト要因も大きくなります。
因みに昨今は、発注者から製品情報のデータ引渡しが多くなりましたが、
手書きや刷物だとデータ化のための入力作業が発生、もちろん入力工数はコストに繋がりますので念のため。

校正・本機色校正

この校正や色校正もコト、クリエイティブ領域の締めのフェーズなので、あえてここに入れています。
発注者による校正作業もさることながら、作り手の制作会社も膨大な校正作業を行います。
ここで誤植や記述ミスを目敏く発見するフェーズですが、
カタログ校正は、場合によって校正専門会社に委託して校正を行うことを提案します。
リスク回避と言う面では発注者は必要経費と考えるべきでしょう。
文字校正校了後の実機・本紙を使った色校正は、コストに直結しますが、期間もプラス1〜2週間となります。

03. 【カタログハード|モノ】要素の解説

サイズ・形状

カタログのサイズや形状は、印刷の際の用紙使用量に直結するため、当然コスト要因となります。
またカタログの形状が角R、円形、多角形、その他イレギュラーな形状となると、
専門的ですが、印刷用紙のロスによる用紙代アップをはじめ、
後述の加工(型抜き)が発生するため、加工費として計上されるのです。

ページ数

これも非常にベーシックなコスト要因です。
ページ数が50ページから4ページ、8ページ増えただけで、確実に費用アップになります。
この要素は、実は印刷費だけでなく、
その増ページ分のデザイン・レイアウト制作コストも載るからです。

部数

この要素もカタログのベーシックなコスト要因です。
当然部数が増えれば印刷コストが上がるのは周知の事実でしょう。
例えばA4サイズのプレーンなカタログであれば、印刷・製本にスケールメリットが発揮できるため、
印刷部数が多いほど1冊当たりの単価を落とすことができます。
一方、上製本や形状がイレギュラーな場合、加工や製本に工数がかかるため、
部数を多くしてもさほどの単価スケールメリットはありません。

用紙

標準的な流通紙、例えばコート紙やマットコート紙であれば比較的安価な見積となります。
しかしながら、本紙にファンシー系用紙特殊紙を使用すると、
その風合いやクオリティの高さは得られるものの、それなりにコストの影響を受けます。
例えば製品がアパレルやブランド品の場合、持っているバリューを一層引き立て、
価値観を高める効果があるため、製品に相応しい表現ができる用紙を選定しましょう。
ただしコストアップとなりますので、それは覚悟すべきでしょう。
昨今ではSDGsの取り組みから「FSC®認証紙」「古紙再生紙」の使用も別途費用の発生となります。

印刷

前項までの4要素は印刷費に影響しますが、これら以外で印刷コストが上下する要素があります。
通常フルカラー印刷と言うとCMYKの4色印刷ですが、
これに1色・2色追加する印刷方法です。いわゆる4色+特色1色〜複数色印刷です。
特色というCMYKでは表せない色、例えば日本の伝統色、西洋の伝統色、パントーン、蛍光色、
また金・銀・メタルカラー等がそれに当たります。
これら4色+特色印刷もファッション性の高い製品や、アーティスティックな製品カタログには非常に効果的です。
さらにRGB印刷、環境対応型水無し印刷、ノンVODインキ印刷を使用した印刷も追加コストとなります。

綴じ・製本方法

およそですが、30ページ以内であれば中綴じ
それ以上の場合、中綴じはかなり無理があり、雑誌のようになってしまうため、
カタログは無線綴じ+くるみ製本が一般的です。いずれもコストは標準的なレベルです。
一方金属やプラスチック製のリング、コイルで綴じるリング綴じ
表紙・ウラ表紙を厚手板紙で上製本加工するハードカバー
また表紙自体をくるむ表紙カバー等はそれなりの費用負担は覚悟してください。

加工

表紙にPPをコーティングするPP加工、グロス(光沢)とマット(ツヤ消し)、
ニス引きは表紙全面、特定部分のみの加工となります。
PPもニス引きも大きなコストアップにはなりません。
金箔・銀箔などの箔押し加工エンボス加工型押し加工角R孔空き加工
また型抜き加工やポケット(タトウ)などのトムソン加工がありますが、
どれもそれなりのオプション費用となります。

送料

全ての工程を経て仕上がったカタログの納品に伴う送料、
国内一括一箇所納品の場合、一般的には見積は送料込みが多いようです。
全国複数箇所、海外の納品は送料実費が一般的です。
ただカタログを封入し、指定多数箇所に発送代行まで行う場合、
サービス全体として込み込みの料金設定となります。

2. カタログ制作費相場と業者の選び方

01. 業者の種類

ここではカタログを制作できる業者として、どのような種類の業者が存在するのか?
おおよそ、印刷会社、デザイン事務所、クリエイティブ制作会社、広告代理店
それと大手印刷会社がその対象となるでしょう。この順で説明していきます。

印刷会社

カタログというとやはり1番に印刷会社が登場します。
分厚い総合カタログを何万部ともなれば、夥しい(おびただしい)印刷量となるため、
印刷会社がカタログを請け負う、というのは蓋然性が高いと言えます。
しかもDTPオペレーターが多数揃っていることが多いため、
とにかく製品・商品情報の夥しい量産も人海戦術でこなしてしまう、
という離れ業をやってのける体制があります。いわゆる前述した“モノ領域のチカラ仕事”。
その分コト領域のクリエイティブは残念ながら…ということが多いため、
基本デザインの部分をデザイン会社に委託して、DTP量産と印刷はウチで…
といったタッグマッチで乗り切ることは珍しいことでは無いようです。

デザイン事務所

デザイナー中心の少人数体制が一般的なため、
ボリュームのあるカタログ制作は対応力に疑問が残ります。
そういう意味では前述の印刷会社との相性はすこぶる高い。
そのためデザイン制作は得意でも、上流の企画構成、複雑な情報設計のプランニングなどは、
不得手なことは珍しいことではありません。
印刷まで一括で請け負っても、当然印刷会社は外注となりますが、
この“デザイン制作/印刷”という一貫請負は日常のことのため熟れて(こなれて)います。

クリエイティブ制作会社

広報メディア・広告・Web制作まで、本格的な制作体制を備えるプロダクション。
取引はクライアント企業直取引のエージェント機能も有し、
アカウントプランナー、プロデューサー、アートディレクター、
デザイナー、コピーライター、マーケティングプランナーまでの陣容を整え、
フォトグラファーまでを擁する場合もある。
特に、カタログの情報構成を再設計することや、
プロダクトブランドを強く意識したクリエイティブワークは多様なデザイン表現、
さらにコピーワークの強みも相まって上質なカタログ制作に威力を発揮しますが、
カタログ規模としては中規模レベルまでが適しています。

広告代理店

大手・中堅レベルの場合、広告プロモーションやマス広告を中心とした事業形態のため、
ほとんどが制作部隊を持たないことから、契約するプロダクションに制作委託することが多い。
マス広告の関連でカタログ制作を一括請負いすることはあるが、
通常カタログ単体制作は請けないこともあるようです。

大手印刷会社

カタログ制作業者として、前述印刷会社とはその別枠であえてここで取り上げています。
というのが、大規模なカタログの大量印刷対応力は同様な属性ですが、
膨大な製品点数の登録・管理・メンテナンスまでシステムを駆使し、
カテゴライズからページ割り、仕様変更、改廃まで管理画面で運用し、
そのまま印刷工程にアウトプットして印刷してしまう。
といったシステマチックな一括管理ができる体制が整っており、
大規模なカタログプロジェクトには強みを発揮できるようです。

02. 業者を選ぶ方法

カタログ業者を選ぶ際、従来的な既存取引業者紹介・コネクション
また展示会アワード受賞業者を選ぶことに加え、
Web検索での候補業者選定は、最早スタンダードな選定手段です。
それは広告制作会社、プロダクションのサイトで作品紹介、社内体制、取引実績等を積極的に紹介しており、
発注者はサイトに赴き、手軽に業者情報を入手できるためです。
検索キーワードさえ外さなければ、目指すカタログづくりに適した候補業者を、
かなり高いレベルの適性で探し求めることを可能とします。
ここではそれぞれの選定方法のポイントを解説しましょう。

既存取引業者

先ず何と言っても印刷物はじめカタログ制作を、社内で従来から取引している業者を選ぶとよいでしょう。
ただ現状が気に入っていない、大きくイメージやコンセプトを変えたい、
という場合は、あえて外すと言う選択肢はありでしょう。

紹介・コネクション

社内の関係者や取引業者からの紹介を受けることは、
業者の出自が確かであることから信用性は担保できると思います。
しかしながらカタログの仕上がり品質が定かでなかったり、コネクションに縛られる、
デメリットも大きいため、昨今ではあまり利用されなくなりました。筆者もこれはオススメしていません。

展示会

クリエイティブや印刷関係の展示会にはカタログ業者が参加していることが多く、
展示会に参じて直接話を聞いてみるのも十分選択肢になります。

アワード受賞業者

メディア等の広告賞やカタログ部門賞などの受賞業者を候補として選ぶものです。
広告やメディア関連の雑誌や情報サイトを参照するのが良いでしょう。

Web検索

このWeb検索によってカタログ制作業者を探すこと、筆者はこれを最もオススメしています。
Googleのクエリ検索はAIテクノロジーの著しい進化に伴い、検索精度の高さは日進月歩。
参考までに検索クエリ(キーワード)を示唆してみましょう。
「カタログ・制作・地域名」
「総合カタログ・制作会社」
「製品カタログ・印刷・地域名」など、色々試して見ることをオススメします。

03. 業者別の制作費相場感

では最後になりましたが、皆さん最も関心の深いカタログの制作費、相場感をご紹介しましょう!
しかしながら、あくまでも筆者の情報網と長年の業界経験からの相場感ですので、
主観と推定の域を超えません。
逃げるわけではありませんが、その辺は斟酌いただければと思います。
ベースラインとなる仕様を共通にするため、以下の統一基準を示します。

カタログ仕様

●ページ数/100ページ
●サイズ/A4・用紙/表紙:160kg程度、本稿:マットコート110kg程度
●製本/くるみ製本・無線綴じ
●部数/2000部
●企画・構成/各業態・各業者により、標準のサービス内容は異なるものとする

業態
印刷会社
デザイン事務所
クリエイティブ
制作会社
広告代理店
大手印刷会社
制作費
相場
200万円〜
300万円位
300万円〜
400万円位
500万円〜
800万円位
800万円位〜
600万円位〜
評 価
印刷会社としてDTP+印刷という、ごく標準的、十八番的仕事のためこの範囲が一般的 カタログとしての付加価値がさほど出せないため、価格対応の場合、印刷要因を抑えるしかなく、特徴が出せない カタログの付加価値やブランドに立脚した差別力・優位性を実現するため、その要求レベルから制作費範囲は大きい
全体として標準的価格帯と言える
前述の通り、カタログ単体での受託はなかなか困難
従って委託プロダクションに外注するため、標準的でもそれなりの費用になる
商品群の多さや膨大な商品点数によっては、一般の印刷会社とは異なり、管理システムにより製品・商品の改廃・メンテナンスを効率的に可能とし、カタログ印刷までを一元一括管理できるメリットは大きい

3. あと書き

このようにカタログの費用相場は、
制作業態によってこんなに開きがあるものと分かったでしょう。
ただ概ねこの辺りの価格帯に収斂(しゅうれん)され、
ここから大きく差があることは考えにくいと言えます。

ということは、何事もそうですが、
カタログ制作をどのレベルで求めるのか?
とにかく無いと困るものだから、存在することが最優先。
となれば価格がプライオリティ。

一方、使い勝手の良さやプラスアルファの付加価値を求める。
予算化も相場並は社内コンセンサスがある。
となればクオリティを担保できる能力を備えた業者が必要!

このように自社が目指すカタログへ求める要件、
価値観や狙う成果、そして価格感。
これらによりカタログ制作を依頼するベンダーを決めるとよいでしょう。

因みにこれらの業態の中で筆者所属ベンダーは、クリエイティブ制作会社。
これからカタログを新規で作る、リニューアルすることが決まり、
“クリエイティブ制作会社”のクオリティや予算感でいい、
となれば、ぜひ弊社へご相談いただければ、
しっかりイイ仕事します!
お声がけくださいませ!

執筆・編集|メーソン