会社案内-4

会社案内で《企業のブランドイメージ》を表現する秘訣

会社案内でブランドイメージ?
実は会社案内と企業ブランドは表裏一体と言えるのです。
ところが当記事では、会社案内を制作するとか、リニューアルする際に、
ブランディングに取り組み、ブランドイメージまでつくってしまおうと。

企業ブランドが大事と考えていても、
これまでブランディングに未着手だった企業にとって、
実はブランディングする絶好のチャンスなのです!

 


因みにタイトルイメージ画像は、生成AIで作成された素材を使用しました。

1. ブランドイメージはどんな企業にも宿る

世に言うブランド品や有名ブランドは日常よく語られますが、
一般企業のブランドや製品・サービスブランドに至っては俎上に載ることは少ない。。。
有名企業・大企業ならまだしも、中堅・中小企業に至っては、ブランドの価値は限定的。。。
確かに両者の比較で、社会やマーケットでの露出度、認知度は大きく異なり、
大小・深浅、異なるものの、実はブランドの基本的な概念は皆同じ!

全ての企業にブランドはきちんと存在し、それを明確に訴えることができるのです。

ウチはブランドという代物には縁がない、
やってることはヨソと同じなので違いが出せない、
ブランドと呼べるウリや特徴はない、
そもそもウチのような中小企業でブランドなど敷居が高い。。。

豈図あにはからんや!
筆者の経験上、殆ど特徴はない。。。と思っていた企業の会社案内制作を承って、
企業のブランドをきちんとイメージ化し、可視化・言語化した例は特に珍しいことではありません。

次項から一つひとつ紐解いていきましょう。

2. ブランドを会社案内で表す価値

01. 実はブランドを可視化することは難しい

ではこのブランドですが、企業の『第5の経営資源』と言います。
ヒト、モノ、カネ、ジョウホウ(情報)の次に来るブランドですが、
様々な場面で語られるようになってきたのも確かで、ブランドづくりに取り組む『ブランディング』として、
企業に徐々に浸透する傾向にあります。

そのブランドはカタチで捉えにくい『無形の資産』として、
社会、市場、顧客、一般消費者など、商品やサービスに寄せるココロに宿るもの。
それ故になかなか可視化することが難しく、表現することに苦心することは、
枚挙にいとまがありません。

この無形資産を明確に定義し、発信するメディアの一つとして、会社案内の存在があるのです。

02. 会社案内は企業を代表する “スポークスマン”

そうです!会社案内は企業のスポークスマン。
それだけに企業がオフィシャルに制作している会社案内は、自社の持つブランド力を発信するメディアとすべきです。
企業が持つ経営レベルの資源、存在意義を表すパーパス
これらを言い換えると企業の “差別性、独自性、価値創出” というブランドの要素。

ここまで言うと、エッ?と疑問を抱く向きもあると思います。会社案内とブランドは一体どういう関係?

もちろん会社案内は、企業の基本情報を掲載・発信するメディア。
それを抜きには語れませんが、基本情報だけで商談、採用活動、IR広報など、
果たして会社案内をビジネスで戦力化する場面で、
BtoB、BtoCに関わらず、カウンターパートとなるビジネスパーソンや求職者を共感へ導くチカラを持てるでしょうか?

残念ながらNoといわざるを得ません。
では以降でその必要性を語っていきますが、その前にブランドを会社案内でどのように表すのか?
皆さんの疑問が多数聞こえてきます。

3. ブランドはイメージとして可視化し言語化する

では会社案内でブランドの何を取り上げ、どのように表わすのか?
何を取り上げるかは次項に譲るとして、まず表現方法です。
前項でブランドは可視化し辛いと言及したように、その正体が人々の心情に宿るため、
象徴的な色やカタチで見える化し、イメージ想起させる言葉やフレーズで言語化するのです。
会社案内では、例えば事業内容、経営方針、ビジネスモデル、開発戦略。。。など、
競合や他社には無い独自の商品やサービス、つまりモノ要素として、
また市場競争力を発揮するモデルや仕組み、つまりコト要素として、
それぞれのブランド要素をイメージ化して紙面構成していきます。

そんな雲を掴むようなことはできない!
との声がまたまた聞こえてきますが、そのワザはプロにまかせましょう。

閑話休題、
ではモノ・コトのブランド要素、会社案内で取り扱う具体的事象として縷々述べていきましょう。

4. 会社案内で取り扱うブランドとは?

お待たせしました。
では企業ブランドとして会社案内で取り上げるに相応しいの事象、ネタをご紹介してみましょう。

01. ニッチ戦略・隙間ビジネス

例えば大手企業が不採算で取り扱わない商品カテゴリー。
同業他社は手を出せないが、付加価値の高い独自ノウハウのサポート。

いずれもマーケット規模は限られていますが、そこに強くフォーカスして強みを発揮する、
言うなればその領域ではまさに ”ブルーオーシャン”。
そんな企業があったらどうでしょう?実はそんな企業、日本中に結構存在するのですねェ〜。
他社は不採算でもその企業は高付加価値。
真似できない唯一無二のワザが利益を生む。

このような強みをブランドと言わずして何と言いましょうや!会社案内でしっかり取り上げるのです。
項目の例として、
「強みの源泉」、「選ばれるブランド」、「拘わる事業領域」、「弊社の付加価値」等。

立派なブランド要因として会社案内の華を成すコンテンツとなるのでしょう。
弱者の戦略として判官贔屓ほうがんびいきの共感を得られることも、会社案内の存在感を高めます。

02. 社会貢献性

どんな企業でも企業活動による成果物は、規模や影響度の大小に関わらず、
何らかの利益や価値の創出・提供で、社会への貢献や還元がなされるものです。

それが世に言う形式的なCSRの概念を超え、事業の本質に踏み込む社会ベネフィットとして、
自社開発の製品やサービスが社会へもたらす影響度を語っていきましょう。

ある領域で技術イノベーションのコアなミッションを担っている。
一個のパーツがビッグビジネスでなくてはならない存在。
企業システムの開発で企業の大幅なコストダウン・省力化に貢献。

会社案内の項目として「社会への波及効果」、「パーパス経営」、「社会的意義」等。

03. ビジネスモデル

独自性の高いビジネスモデルが強みなのに、
その存在価値や意義について深く語られず、意外にあっさりした内容に留まる会社案内に時々遭遇します。
最早それこそ誇れるブランドパワー!
会社案内は況んや、ブランドブックやパーパスブックなども展開し、社内外に再認知させたいものです。

惜しむらくは、強みをブランドと認識されていないこと、甚だ残念。。。

項目として「誇れるビジネスモデル」、「リーディングカンパニー」、「業界での強み」等。
やはり会社案内を増ページしても、自社の優位性を大胆に躊躇なく表現したいものです。

反面、そんな企業の営業パーソンからよく耳にするのが、
ブランド力の高いビジネスモデルがあるのに、会社案内では額面通り語られていない。。。
チャンスロスが発生しているやもしれませんねェ。

日神機工株式会社様|会社案内

自社の強み・特徴を根底から見直す再検証の機会になった会社案内。

同、会社案内

顧客の課題をパズルピースに准え、同社の存在価値を表現した。

同、会社案内

ドーナツチャートで表したインフォグラフィックが同社のビジネスモデルを見事に表した。情緒的且つ機能的にブランドイメージを創り上げた。

04. 事業の将来性・成長性

コンテンポラリーな事象が中心の会社案内は非常に多い。
我が日本人は将来を語る機会が少ない、未来の夢を語るビジョンがない。。。
実は会社案内でもビジョンを語る機会が少ないのが実態です。

成長が期待できる事業領域やプロダクトカテゴリーを明確にターゲティングし、
研究・リサーチ、開発・検証している企業の行動。またとない会社案内のブランドイシューなのです。
インナーにおいては社員へのロイヤリティメッセージ。
就活生・求職者へ、入社願望・エンゲージメント向上に貢献。
株式市場においては株主・投資家は期待感を高める。

会社案内のテーマでは「夢を実現する成長ビジョン」、「成長戦略への志」、「将来を託す市場開発」等。
よほど秘匿性が高く、企業の命運がかかっているケースは除き、
やはり企業の行く末は、会社案内で高らかに語りたいものです。

05. 創業・周年の価値

企業の50周年、80周年、100周年という周年記念も、
言わずもがな、企業がブランドに取り組む、ブランディングの一角を成すものです。

単純に社史編纂、記念式典開催で終始するインナーイベントの範囲だと、ブランドと呼ぶには及びません。
企業の寿命20年説、30年説が語られる中、
創業から長きにわたり事業を展開し、周年を迎える価値、まさにその価値を祝う機会なのです。

社史や記念誌ほどのボリューム感はないものの、敢えて会社案内で周年情報に紙面を割きます。
創業から現在までのヒストリーを順追って一覧掲載し、創業時のエピソードや古写真を紹介する。

エピソードが面白可笑しかったり、山あり谷ありの紆余曲折を辿る道程だったり、
苦難の連続を克服して今の成長を勝ち取った。。。など、特に目の当たりにした既存の顧客、取引業者は、
普段とは異なるエピソードに接し、企業を見直す機会となること請け合いです。
新規取引や求職者も企業の存在価値が認識され、
インプレッションを高めるアウター効果も期待できるのでしょう。

06. リブランドの機会

BtoC企業やBtoB企業でもリブランドすることは、
とてもチャレンジングで、吉と出るのか、否か?それこそ神のみぞ知る。。。
リブランディングは一か八かのサバイバルチャレンジなのです。

もちろんマイナーチェンジレベルのリブランドもあるため、過剰反応は御法度ですが。。。

いずれにしても、リブランドであまりネガティブなことを宣(のたま)うと、
リブランド企業からお叱りを受けそうなので、この辺にしておきますが、
いずれにしてもブランドをリボーンさせる機会なので、
再生したブランドは会社案内で発信するまたとない機会なのです。

新しいブランドメッセージ、ブランドコンセプト、目指すブランドポジションなど、
視覚、言語を通じて社会・マーケット・顧客へ、会社案内を通じて伝播したいですね。

株式会社パレス 様|リブランドを象徴する会社案内

カタログとのハイブリッドな会社案内とも言える作品。同社は社名変更と共に事業のポジショニングを大きく転換。リブランドした同社を、紙面全体にわたってフォトアートな製品画像でフィーチャー。

5. 会社案内でイメージ化するブランド力

01. これらのブランド力をイメージ化するデザイン性

ブランドとして取り扱う事象・ネタをタイトルや項目として言語化し、ブランドイメージに仕立てた後は、
デザインイメージに表してナンボ!つまりブランドイメージづくりの中心となるデザイン性です。

デザインは「カラー」「形状」「素材」として三要素を成しますが、
ブランドのコンセプトに沿った色調、カタチ、素材感をイメージメイクして表現します。
ブランドカラー、ロゴ、タイポグラフィ、ブランドキービジュアルなど、
会社案内で表現するブランドイメージをデザインに起こしていくのです。

ブランドに関する項目のページでブランドイメージとして表現するだけでなく、
時に会社案内全体に及びブランドイメージを反映させることも、ブランドの露出を高める手立てです。

生活協同組合パルシステム東京様|会社案内制作実績

ブランドイメージは、ズバリ!宅配で契約家庭に届ける新鮮野菜や様々な食材の現物写真。表紙を開いた冒頭の見開きページでダイナミックに全面展開。さらに表紙のデザインは過去の宅配荷姿である段ボール包装。そのイメージをリアルに表現した。用紙はファーストヴィンテージという高級な特殊紙を採用。ブランドイメージと言っても、なんとなく、というイメージ形成ではなく、かなり現実的で即物的なブランド表現ですが、同社の事業ドメインの本質を訴えるもの。

02. 企業の特徴を表す仕掛けも大事

形状の加工

ブランドイメージを形成するデザイン要素の中に「形状」が含まれていますが、
ブランドを表す要素として平面形状だけでなく、立体形状も存在します。
会社案内でブランドイメージを表す場合、立体形状は不似合い、適切ではない感じもしますが、
実は表現方法の一つとして、ケースによっては大変効果的です。

用紙に加工を施すことで、形状に変化を付けますが、
型抜き、型押し、エンボス加工、箔押し加工などがその手段となります。
企業のブランドイメージを、業種、オリジナル製品、独自技術、ビジネスモデル、企業風土などをモチーフにし、
シンボリックなカタチに加工するのです。

協育歯車工業株式会社様|会社案内

見ての通り、会社案内表紙のギザギザは、歯車を型抜きした加工。実は同社、歯車の国内二大規格の一つ”KG規格”を開発した業界パイオニア。この形状を見るだけで業界関係者、顧客はその規格がわかる形状。BtoBブランドとはそういうもので、「知る人ぞ知る」の世界観で十分なのだ。

株式会社 Symmetry House 様|会社案内

宮大工の高度な伝統技法を会社案内表紙で再現。表紙写真ではわかりにくいが、江戸時代から長年そのワザを多数の専門家でも解析できなかった超難度。そのギミックをトムソン加工で表した。他で類を見ない伝統ワザ、独自技法をまさに形状加工でブランド化した。

素材感の仕掛け

次にデザイン性要素の「素材」です。
会社案内でブランドイメージを表現するデザイン要素として、いくつか例を挙げてみると、
まず会社案内の用紙。企業のブランドイメージに繋がる特徴や存在を表す用紙の種類として、
紙の繊維が含まれるため、オーガニック感が特徴のクラフト系用紙、
表面にエンボス感のあるファンシー系用紙、
自然な風合いや不規則な凹凸で和紙のイメージを持つ特殊紙、
古紙配合率が高い、或いは認定された特定の森林のみのパルプで精製した環境系用紙。

これらも形状加工同様、業種や業界イメージ、秀でた技術イメージ、価値観やコンセプト、など、
会社案内でブランドイメージを形成する最後の一味になるでしょう。

因みに、前述「生活協同組合パルシステム東京様」で使用した用紙、「ファーストヴィンテージ」は、
生協という事業からして、エコロジーさを表現するに一役買っているのです。

あと書き

会社案内でブランドイメージを表現すること、
その意義や価値を理解されたでしょうか?

しかしながら会社案内のためにブランディングする。。。
というのは一見目的と手段を履き違えた感じはしますが、
企業がブランドに取り組む機会になるという意味では、強(あなが)ち論理矛盾ではない!
と筆者は考えています。

さらに会社案内でブランドイメージを創出しているので、
ハードとなる会社案内自体の価値も高めているのです。

ブランディングを大上段に構えて、やるゾー!と取り組むのはもちろん結構なことですが、
このように企業にとって身近な会社案内リニューアルの機会に取り組んでみるというのも、
ブランディングに取り組む機会に恵まれない中堅企業、中小企業にとっては、
またとない絶好の機会と言えます。

逆流ですが、この会社案内で構築したブランドコンセプトやブランドイメージをきちんと定義し、
企業ブランドとしてブランドブックに認(したた)め、
社内正式な企業ブランドとして、コーポレートサイト、企業ビデオ、各種広報メディアなど、
様々なオウンドメディアに展開させると、コストパフォーマンス、B/C、タイパ、
どれをとってもバランスのいいメディア戦略までカバーできるでしょう。

こんなブランドイメージづくりを会社案内で行うことを希望される場合、
お声掛けいただければ、頼もしいパートナーになります!

<執筆・編集|メーソン>
 



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