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AI時代のカタログ制作とは|編集者が設計し、AIで生成する

公開日:2026.07.12
AI時代のカタログ制作とは|編集者が設計し、AIで生成するの画像イメージ
AIでカタログを作れる時代になりました。
デザイン案は数分で並び、コピーの下書きも、写真のレタッチも、驚くほど速い。
けれど、いざ任せてみると妙な違和感が残ります。製品は並んでいるのに、その並びに理由がないのです。
どの製品を先に見せるか。何を大きく扱い、何を小さく収めるか。
AIは、決まった並びを整えることはできても、何を先に置くべきかも知りません。
そのうえ、AIが描いた画像には、著作権や意匠権の判断がついて回ります。

実はカタログを設計するのは、これからも編集者です。

本稿では、カタログ制作におけるAI活用の実際と、編集者がAIをどう使えば売れるカタログになるのか、
という視点から現場の目線でお伝えします。

●AI時代のカタログ制作とは

AI時代のカタログ制作とは、編集者が誌面の構成と情報の優先順位を設計し、その設計に基づいてAIが誌面要素を生成する制作方法である。生成AIは、コピーの下書き、レイアウト案の作成、画像の生成や補正といった、決められた条件を形にする工程を高速化する。一方、どの製品をどの順で、どれだけの面積で見せるかを決める工程と、AI生成物の著作権・意匠権および表示内容の適否を判断する工程は、人が担う。

●【AIが担える工程】

  • コピー・製品説明文の下書き作成
  • レイアウト案・デザイン案の生成
  • 画像の生成・補正・背景処理
  • 誤字脱字・表記ゆれの校正

●【編集者が判断する工程】

  • 掲載する製品の選定と、掲載順序の決定成
  • 誌面上の面積配分(何を大きく見せ、何を削るか)
  • 製品情報の分類体系と、検索性の設計
  • AI生成物の著作権・意匠権と、表示内容の適否の判断

●【留意点】

  • AI生成画像を製品カタログに使用する場合、著作権のほか、意匠権および記載内容と実物との整合について、個別の判断を要する
  • AIは生成物に対して責任を負わないため、最終的な判断と責任は制作者側に帰属する

第1章|AI時代のカタログ制作とは何が変わったのか

カタログ制作の現場に、AIが入ってきました。これまで数日を要したデザイン案が数分で何十通りも並び、製品説明の下書きも、写真の色補正も、驚くほどの速さで返ってきます。かつて手を動かして積み上げていた工程の多くが、今や指示ひとつで形になる。制作のスピードは、確かに変わりました。

01. 速くなったのは工程、変わらないのは判断

しかしながら、速くなったのは工程であって、カタログの善し悪しそのものではありません。
AIに「製品を並べてください」と指示すれば、整然としたページはすぐに出てきます。
その並びを見て、発注担当者がふと立ち止まる。なぜこの製品が先頭なのか。なぜ主力商品が、隅に小さく収まっているのか。
AIは、与えられた条件のなかで最も無難な配置を返します。
しかし「どれを一番に見せたいか」という問いには、答えを持ちません。それは、その会社の事業戦略にしかない答えだからです。

02. カタログ制作は「設計」と「生成」に分かれる

ここに、AI時代のカタログ制作を理解する鍵があります。カタログをつくる工程は、大きく二つに分けられます。
ひとつは、何を、どの順で、どれだけの面積で見せるかを決める工程です。
どの製品を主役にし、どのカテゴリーを前に出し、限られた誌面をどう配分するか。
ここには、企業の意思と、読み手への配慮が要ります。本稿ではこれを「設計の工程」と呼びます。
もうひとつは、決まった設計を、実際の誌面として形にする工程です。文章を書き、写真を整え、レイアウトに落とし込む。
手数と時間のかかる作業であり、正確さと速さが求められます。これを「生成の工程」と呼びます。

カタログ制作「設計」と「生成」の二分図で、左が設計(人・判断・青緑)、右が生成(AI・作業・黄)

03. AIが劇的に速いのは「生成」の側である

そして、AIが劇的に速いのは、後者です。
生成の工程において、AIは疲れず、迷わず、何度でもやり直します。
人が数日かけた作業を、数分で肩代わりする。この恩恵は、まぎれもなく本物です。
では、前者――設計の工程は、どうなるのか。そこにこそ、この記事の主題があります。
次章ではまず、AIがカタログ制作のどこまでを担えるのか、その実際を具体的に見ていきましょう。

第2章|AIがカタログ制作で担える工程

では、AIはカタログ制作のどこまでを担えるのか。結論から言えば、「生成の工程」のほぼ全域です。原稿、デザイン、画像、校正――かつて人が何日もかけていた作業を、AI(ツール)は次々と形にします。まず、担える工程を一覧で整理します。

01. AIは「速く、何度でも」試せる

AI(ツール)の真価は、速さだけではありません。何度でも、疲れずにやり直せることにあります。
たとえば製品説明のコピーを、硬い調子から親しみやすい調子まで十通り。表紙のレイアウトを、余白の広いものから情報を詰めたものまで何案も。人が一日がかりで数案を練るあいだに、AIは数十案を並べます。この試行回数は、人の手だけでは到底届かない領域です。選択肢を広げる力において、AIは間違いなく有能な書き手であり、描き手です。

02. ただし、条件を与えるのは人である

ここで、先ほどの一覧の右端の列に目を戻してください。
AIがどれだけ速く原稿を書いても、何を訴求点にするかは、人が与えます。 どれだけレイアウト案を並べても、どの製品を優先するかは、人が決めます。 画像を無数に生成しても、それが実物と相違ないかを見極めるのは、人です。
AIは、条件を与えれば、それを高速で形にします。しかしカタログ制作において、その条件そのものを与えるのは、いつも人である。 次章では、その「条件を与える」という仕事――設計の中身に、踏み込んでいきます。

工程
AIが担えること
人が与える条件
原稿・コピー 製品説明の下書き、複数案の生成 訴求点、文体・トーン
デザイン レイアウト案・配色案の生成 掲載の優先順位、構成
画像 生成・補正・背景処理・切り抜き 実物との整合、使用可否
校正 誤字脱字・表記ゆれの検出 事実確認、最終判断

第3章|編集者は何を設計するのか

第1章で、カタログ制作には「設計の工程」があると述べました。AIには担えない、人の仕事です。では、その設計とは具体的に何をすることなのか。ここが、この記事のいちばん伝えたい部分です。

01. 並べる基準は、誌面の外にある

製品を型番順に並べる。五十音順に並べる。これは誰にでもできますし、AIも正確にこなします。しかし、それは分類であって、設計ではありません。

設計とは、「売りたい順に並べる」こと

設計とは、「売りたい順に並べる」ことです。今期に力を入れる新製品を巻頭に据え、利益率の高い主力を見開きで大きく扱い、終売間近の型番は後ろにまとめる。この順序は、製品情報のどこにも書かれていません。その企業の事業戦略という、誌面の外にある文脈から導かれるものです。AIは、誌面の中にある情報は読めます。誌面の外にある意思は、読めません。

何を大きく見せ、何を削るか

限られたページ数のなかで、何を大きく見せ、何を小さく収め、何を載せないか。この面積の配分こそ、カタログ設計の核心です。
全ての製品を等しく丁寧に扱えば、一見公平なようで、実は何も伝わらないカタログになります。主役を主役として際立たせるには、脇役をあえて小さくする判断が要る。 AIは、指示がなければ全製品を等価に扱います。取捨選択――何かを大きくするために何かを削るという意思決定は、その事業を背負う人間にしか下せません。

決めた理由を、説明できるか

そして、設計の本質は、決めた理由を説明できることにあります。
なぜこの製品を巻頭にしたのか。なぜこの一枚を大きく使ったのか。優れた編集者は、そのすべてに理由を持っています。そして、その理由に責任を負う。もし成果が出なければ、次はどう変えるかを考える。この一連の営みが、設計です。
AIは、もっともらしい配置を提案します。しかし、なぜその配置なのかを問われても、責任をもって答えることはありません。責任を負わないものは、判断していない。 ――どれほど速く、どれほど巧みに形にしようとも、最後に「これでいく」と決め、その結果を引き受ける者。それが、カタログを設計する編集者です。
こうした設計から入稿までを、誰が、どの順で進めるのか。その道筋は、カタログ制作の手順と進め方で、15のステップに沿って解説しています。

第4章|AI生成画像とカタログの著作権・意匠権

AIで画像を作れるようになって、新しい問いが生まれました。その画像を、カタログに載せてよいのか。 製品カタログは会社の公式な発行物です。あいまいなまま進めるわけにはいきません。ここは、つまずきやすい二つの論点に絞って整理します。

AIが生成した画像は、誰の著作物か

まず著作権です。現在の日本の制度では、AIが自動生成しただけの画像は、原則として著作物に当たらないと整理されています。人が創作したものではないためです。逆に言えば、自社がAIで作った画像に、著作権を主張しにくいということでもあります。
注意すべきは、生成された画像が既存の著作物とよく似ている場合です。学習データに含まれていた誰かの作品と類似すれば、意図せずとも権利侵害を問われる可能性があるとされています。AIが描いたから安全、とは言い切れないのです。

製品カタログに潜む、意匠権という落とし穴

そして、カタログ制作でより注意を要するのが意匠権です。あまり耳慣れない言葉かもしれません。しかし、ここにこそ製品カタログ特有の危うさがあります。
意匠権は、工業製品の外観デザインを保護する権利です。そして著作権と違い、相手の作品を真似たという事実がなくても、結果的に似ていれば侵害と判断されることがあるとされています。AIに製品のイメージ画像を描かせたところ、たまたま他社の登録意匠によく似た形状が出力される。BtoBの製品カタログでは、これは絵空事ではありません。製品カタログにおいては、著作権より意匠権が厄介である。 この一点に気づいているかどうかで、リスクへの構えは大きく変わります。

「たぶん大丈夫」で、通せるか

もう一つ、見落とされがちな点があります。カタログの画像は、実物を正しく表しているかが問われます。AIが質感や形状を実物と違うように描けば、それは権利の問題以前に、表示の正確性の問題になります。
これらをどう見極めるかは、製品や状況によって一つひとつ異なります。個別の判断が必要であり、判断に迷う場合は、専門家に確認すべきです。 カタログ制作会社は、こうした論点を早い段階で洗い出し、安全な進め方を一緒に考える役割も担っています。実際のケースごとの疑問については、よくある質問でも取り上げています。

第5章|AI活用で費用と制作期間はどう変わるか

ここまで読んで、多くの方が気になっているのは、おそらく費用のことでしょう。AIを使えば、カタログ制作は安く、速くなるのか。実務の感覚から、正直にお答えします。

納期(制作期間)は、確かに縮む

まず制作期間について。これは、縮みます。
コピーの下書き、レイアウト案の作成、画像の補正――第2章で見た「生成の工程」は、AI(ツール)の導入で目に見えて速くなります。これまで初校まで二週間かかっていた作業工程が、数日単位で前倒しできる場面も少なくありません。立ち上がりの速さは、AI活用の確かな恩恵です。

ではなぜ、費用は思うほど下がらないのか

ところが、費用のほうは、制作期間ほど単純には下がりません。
理由は、これまで述べてきたとおりです。カタログの出来を決めるのは「設計の工程」であり、そこは人が担い続けます。どの製品を主役にするか、どの画像が使えてどれが危ういか、実物と相違ないか――こうした判断の一つひとつに、時間と経験が費やされます。生成が速くなっても、この設計と確認の工程は消えません。AIは工程を速くするが、安さを保証しない。 むしろ、AIを正しく使いこなすための判断に、これまで以上の目利きが求められる場面すらあります。
では、実際の費用はどう構成され、何をすれば抑えられるのか。ここは制作の進め方や依頼先の選び方と深く関わります。内訳から相場の考え方、外注先の見極めまでを、カタログ作成の費用と外注で詳しくご案内しています。

第6章|AI時代に制作会社へ依頼する意味

ここまで見てきたように、AIはカタログ制作の多くの工程を担えます。原稿も、デザイン案も、画像も、驚くほど速く形にする。それでもなお、カタログを設計するのは人である。 この事実は、AIが進化しても変わりません。むしろ、AIが強力になるほど、それを使う側の判断力が問われます。

選ぶべきは、AIに何をさせないかを決められる会社

AIツールは、いまや誰でも手に入ります。だからこそ、これからの制作会社の価値は、AIを使えることそのものにはありません。
どの工程はAIに任せ、どの判断は人が握るのか。生成された画像に、権利や表示の問題はないか。そして何より、この一冊で何を伝え、何を売りたいのか――その設計を引き受け、結果に責任を持てるかどうか。ここに、依頼する意味があります。AIを使いこなす会社ではなく、AIに何をさせないかを決められる会社を選ぶべきです。
私たちは、カタログ制作の現場でAIと向き合いながら、変わらず「設計」を担い続けています。その一冊一冊を、カタログデザイン制作実績としてご覧いただけます。AIをどう活かせば、御社のカタログが本当に売れる一冊になるのか。

AIは、驚くほど速く、そつのない仕上がりを返してくれます。
しかし、その一冊で「何を一番に伝えたいか」を決められるのは、御社の事業を知る人間だけです。
設計から仕上げまで、AIを使いこなす現場が、そのお手伝いをします。

カタログ制作を
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ご検討段階のご質問だけでも歓迎します。AI活用の可否から、お気軽にどうぞ。

あとがき

筆者は長らく、紙のカタログ一筋で誌面を組んできました。
だからこそ、AIが数分でレイアウト案を並べる様子を初めて見たときは、正直、舌を巻きました。あに図らんや、道具はここまで来たか、と。

しかし、いくつも案を出させて、選び、直しを重ねるうちに、妙な感慨が湧いてきました。選んでいるのは、結局こちらなのだ、と。AIがどれだけ手数を増やしても、「これでいく」と肚を決める場所だけは、ついぞ手放せない。手放してはいけない。そこが、編集という仕事のいちばん面白いところだからです。

包丁が切れ味を増しても、何を作るかを決めるのは料理人です。
AIという道具を得た私たちは、いよいよ「何を作るか」を問われている。便利になったぶんだけ、人の思案が値打ちを持つ——AI時代のカタログ制作とは、存外そういうことなのかもしれません。

御社のカタログという一冊に、何を込めるか。その思案のお手伝いができれば、これに勝る喜びはありません。

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