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総合カタログ制作とは|デザインと目次設計の要点

総合カタログのデザインは、美しさだけでは務まりません。
数百点の製品をどう分類し、どの順で並べ、どんな目次から引かせるのか。
この構造の設計まで含めて、はじめてデザインと呼べます。
分厚く立派に刷り上がった一冊も、目当ての製品に辿り着けなければ、顧客にとって存在しないのと同じだからです。
逆にいえば、探しやすさまで設計されたカタログは、それだけで商談の速度を変えます。
本稿では、多品種を束ねる分類体系のつくり方から、検索性を高める目次・インデックスの設計、
そしてブランド価値を伝える誌面づくりの要点までを、実作品を交えて現場の目線でご案内します。

●総合カタログとは

総合カタログとは、企業が取り扱う製品・サービスの全体を一冊に収載し、顧客が目的の品目を比較・検索できるよう体系化した冊子である。製品カタログが個別製品を深く掘り下げるのに対し、総合カタログは多品種・多カテゴリーを横断的に整理し、分類体系と目次・インデックスによって検索性を担保する点に特徴がある。営業活動における提案資料、展示会での配布物、顧客先での常備資料として運用される。

●「総合カタログ制作の要点」5項目

  • 分類体系の設計:顧客の探し方に合わせて製品をカテゴリー化し、階層構造を定める
  • 目次・インデックスの設計:索引・見出し・ツメなど、目的の頁へ最短で到達する導線を組む
  • 誌面構成とデザイン:情報量の多さを保ちつつ、可読性とブランド価値を両立させる
  • 撮影・素材の品質管理:多品種の製品写真を統一基準で撮影し、誌面全体の質を揃える
  • 運用と更新の設計:増刷・改訂・PDFカタログ化を見越した版下管理を行う

このページは、カタログ制作の全体像を解説する特集の一部です。
総合カタログの目次設計は、企画から印刷までの工程のうち、
多品種の分類と構成を決める段階です。

01総合カタログの種類|4つのタイプと使い分け

ひとくちに総合カタログといっても、その姿は一様ではありません。取引先の棚に据え置かれる百科事典のような一冊もあれば、営業マンの鞄に収まる薄手の一冊もある。判型もページ数も、綴じ方すら違います。にもかかわらず、いずれも「総合カタログ」と呼ばれる。ならば何が両者を分けるのか。答えは、その一冊がどこで、誰に、どう使われるかという一点に尽きます。用途が形を決めるのであって、その逆ではありません。

ここを取り違えたまま制作に入ると、悲劇が起きます。展示会でばらまくつもりが、重すぎて誰も持ち帰らない。営業に持たせたら、鞄が閉まらない。「立派なものを作ろう」という善意が、そのまま使われない一冊を生む。まずは自社の総合カタログがどの型に属するのかを見極めるところから始めます。

総合カタログとは|定義と品目数・ページ数の目安

総合カタログとは、企業が取り扱う製品・サービスの全体を一冊に収載し、顧客が目的の品目を比較・検索できるよう体系化した冊子である。個別の製品を深く掘り下げる製品カタログに対し、総合カタログは多品種・多カテゴリーを横断的に整理し、分類体系と目次・インデックスによって検索性を担保する点に特徴がある。

規模の目安を申し添えます。私どもが手がけてきた総合カタログは、掲載品目が数十点から数千点、ページ数にして20ページから300ページ超まで幅があります。100ページを超えれば、もはや冊子ではなくデータベースを紙に落としたものと考えたほうが実態に近い。この認識の有無が、後の設計を大きく左右します。

そして総合カタログには、製品カタログにはない宿命があります。総合カタログは、読まれる本ではなく、引かれる本である。通読を前提とした媒体は、冒頭から順に読ませればよい。しかし総合カタログは、顧客が必要な一点だけを引き抜いて去っていく。辞書や時刻表と同じ性質です。だからこそ、後述する検索性の設計が生命線となります。

顧客設置型|取引先に常備されるオーダーツール

取引先の事務所や工場に置かれ、必要なときに引かれる据置型です。ページ数は最も多く、掲載品目も網羅的。型番・寸法・仕様値がびっしりと並び、発注の際の参照資料として機能します。

この型で最も重要なのは、捨てられないことです。棚に残り続けてこそ役目を果たす。ゆえに製本は頑丈に、背は太く、表紙は擦れに強い加工を施す。ページを繰る回数が桁違いに多いため、綴じの選定を誤ると数ヶ月でバラバラになります。見た目の美しさより、耐久性という機能美を優先すべき型です。

もうひとつ。設置型は改訂までの寿命が長いという特性があります。二年、三年と棚に居座る。ゆえに時流に左右されるデザインや、すぐ陳腐化する表現は避ける。長く付き合える誌面設計が求められます。

清和光学製作所コレクトの総合カタログ表紙。黒基調に光学レンズの金属感を引き立て、PP加工で光沢を強めた100ページの顧客設置型総合カタログ
光学機器メーカーの総合カタログ
光学機器メーカー総合カタログのコンセプトページ。製品の開発ポリシーと高品質性を語り、プロダクトブランドを誌面で表現した設計
表紙デザイン(左画像)、コンセプトページ(上画像)

100ページに及ぶ光学機器メーカーの海外ビジネス展開の総合カタログ。5分野の製品群を全て統合し1冊の総合カタログに仕上げました。表紙のデザインは黒を基調とし、光学レンズのシャープな金属感を引き立てました。また表紙には光沢感を強く打ち出すPP加工を施し、さらに存在感を高めました。

上画像のコンセプトページでは、製品の開発ポリシーや製品の高品質性について、さらにこだわり続けて市場に挑戦し続けるアグレッシブな姿勢を語る。プロダクトブランドを強く表している。

総合カタログのINDEXページ。企業ロゴマークをモチーフに5分野の製品群をカラー分類し、カテゴリーごとのテーマカラーで検索性を高めたインデックス設計
INDEXページ

同社のロゴマークをモチーフに、5分野の製品群をカラフルに仕分けし、それぞれのカテゴリーテーマカラーとした。

1000品種以上を収載した総合カタログの製品情報ページ。統一フォーマットと統一レギュレーションで緻密にレイアウトされた誌面設計
製品情報ページの一部

1000品種以上にわたった製品情報ページが、統一フォーマット、統一レギュレーションの下、非常に緻密にレイアウトされている。


画像処理製品商社の総合カタログ表紙デザイン。白ベースのシンプルな意匠で36ページにまとめた展示会にも使える多目的な総合カタログ
画像処理製品商社の総合カタログ

白ベースのとてもシンプルな表紙のデザイン。ページ数も36ページとボリューム感は無いものの、コンテンツのターゲットとする製造業や設備事業の技師・エンジニアには、その製品群別の特徴や導入シミュレーションが非常に重宝する。
コンパクトなので展示会など多目的な用途にも効果的。

総合カタログの製品カテゴリー扉ページ。ベンチマークデータと導入シミュレーションに言及し、イメージカットでプロダクトブランドを訴求するデザイン
製品群ラインナップの一つの扉ページ

ダイナミックで高品質な製品カテゴリーの扉ページデザイン。スペック・仕様諸元や基礎情報を充実させるのは当然、製品のベンチマークデータや導入シミュレーション事例に丁寧に言及し、さらに製品群の扉ページのデザインに、プロダクトブランドを訴求するイメージカットを採用、製品の高品質性を視覚的に伝えることも忘れない。
そもそも単品、製品群ごとの製品パンフレット、リーフレットをまとめ上げた総合カタログだけに、その言及の緻密さは群を抜く。

総合カタログの製品情報ページ。製造業エンジニア向けに仕様諸元をスクエアに紙面構成した総合カタログの基本レイアウト
製品情報ページ

ターゲットは製造業のエンジニア。それだけに彼らがカタログの域を超え、パンフレットレベルの精細情報を望んでいることに巧みにフィットする。
いたって当然だが、製品情報がバランス良く非常にスクエアに紙面構成されているのが、総合カタログの基本中の基本。心地良ささえ感じてしまう。

導入シミュレーションページ(左画像)

コンパクトな総合カタログにもかかわらず、ベンチマーク情報や導入シミュレーション情報に紙面を贅沢に割いた。この辺が同業他社との差別力につながっている。

展示会型|配布を前提としたコンパクト設計

展示会・見本市で来場者に手渡す配布型です。設置型とは正反対の思想で作られます。

来場者の手荷物には限りがあります。ブースを巡るうち、鞄は他社の資料で膨らんでいく。ここで分厚い一冊を渡せば、その場で会場のゴミ箱に消える——これは誇張ではなく、実際に何度も目にしてきた光景です。持ち帰られない一冊は、印刷代を捨てたのと同じことになります。

ゆえに展示会型は、軽く、薄く、そして持ち帰る動機を与える必要があります。全品目の網羅は捨て、主力製品に絞る。詳細はWebへ逃がし、二次元コードで橋を架ける。「全部載せる」という発想からの離脱が、この型の設計の要諦です。

環境機器製造メーカーの総合カタログ表紙。展示会配布向けにチューニングした16ページ構成のコンパクトな総合カタログ
環境機器製造メーカーの総合カタログ
展示会型総合カタログのコンセプトページ。インデックス本体と製品情報を分割し、8種類の個別パンフレットを一括管理する構成
同総合カタログのコンセプトページ

展示会向けにチューニングしカテゴリーや製品別に仕分けした。本体は16ページ構成で製品別のインデックスを設置、そこから遷移する製品情報は1カテゴリーもしくは1製品4ページを8種類の個別パンフレット仕立てとした。つまりインデックス本体と製品情報をきれいに分割させた。それらを一括にまとめ総合カタログとした。営業活動にもユーザビリティを高めている。

総合カタログのインデックスページ。製品群ラインナップを色分けし検索性を高め、4ページ構成の製品パンフレット8種類へ導く目次設計
総合カタログのインデックスページ

製品群ラインナップを色分けして検索性を高める。この行き先は前述の通り、下画像の4ページ構成の製品パンフレット8種類。これを一括管理して総合カタログたらしめる。

4ページパンフレット(左右)

左右は左上部の撮影イメージのうちの8種類から2種類ピックアップした4ページ製品別パンフレット。これらがまとまって総合カタログをなす。
ここまで専門的でユーザーのニーズに組入るカタログは稀有な存在。もはやありがちな総花的な総合カタログという概念を超越する。

営業活動型|携行性と差替え運用を両立させる

営業担当者が携行し、顧客先で開いて説明する提案型です。設置型の網羅性と、展示会型の軽さ。その両方を求められる、最も設計の難しい型と言えるでしょう。

解法のひとつが差替え式です。バインダーやリング綴じとし、製品の追加・改訂・価格変更が生じた際、該当ページだけを差し替える。全面改訂の印刷費を抱えずに、常に最新の情報を持ち歩ける。総合カタログのように品目が多く、しかも改訂頻度の高い企業には、この運用が効きます。

ただし差替え式には弱点もあります。綴じが緩く、ページが脱落しやすい。デザインの一体感も損なわれがちです。運用の柔軟性と誌面の完成度は、しばしば背反する。どちらを取るかは、営業現場の実情を見て決める判断です。

業務用オリジナルユニフォームの総合カタログ表紙とリーフレット。差替え運用を前提に設計された営業活動型の総合カタログ
業務用オリジナルユニフォームの総合カタログ
ユニフォーム総合カタログの本体。約30種のリーフレットをフラップに挟み込み、顧客ごとに構成を変えられる差替え式の総合カタログ設計
ユニフォーム総合カタログの本体

ホテルリネンサプライと業務用ユニフォーム販売を主力事業とする企業の総合カタログ。
業務用ユニフォームのラインナップは、業種・業態別に同社オリジナルでコーディネートされた約30種。仕様変更や流行要素があるため、1種1枚のリーフレット形式とした。これに伴い、変更アイテムのみの差替えで済み、さらに営業パーソンはユーザー属性やニーズにより、全アイテムの中から数種をピックアップすることで、カタログをコンパクトにでき、且つ無駄の排除になっている。
つまりユーザーごとに異なるオンリーワン的な総合カタログのできあがり、営業パーソンは重厚さから解放される。
右端の面はフラップとして下画像の30点リーフレットを挟み込む。

総合カタログを構成する30点のリーフレット。1種1枚の形式で仕様変更時の差替えを可能にした営業活動型の運用設計
総合カタログのパーツをなす各リーフレット
4カテゴリーを色分けした総合カタログのリーフレット。営業担当者が用途別に抜き出して携行できる検索性重視の設計
4カテゴリーをそれぞれごとに色分けしたリーフレット

通販・BtoC型|DM・店頭で使う消費者向けカタログ

一般消費者に向けて発行される通販型です。BtoBの三型とは、目的そのものが異なります。

前三者が「探す」ための道具であるのに対し、通販型は「欲しくさせる」ための道具です。仕様値の正確さより、シズル感。網羅性より、編集の妙。ページを繰る指が止まる瞬間を、意図的に設計する。写真は大きく、余白は贅沢に、コピーは情緒に踏み込みます。

したがって通販型に、BtoB型の設計思想をそのまま持ち込んではなりません。逆もまた然り。同じ「総合カタログ」の名を冠していても、両者は別の生き物である。この見極めを誤ると、精緻な仕様一覧に情緒的なコピーが混ざる、奇妙な一冊が出来上がります。

お受験グッズの通販総合カタログ。分野別に商品を絞り込み20ページにまとめた店頭渡し・DM用の消費者向け総合カタログ
お受験グッズの総合カタログ

お受験グッズの製造・店舗販売を事業とする企業の総合カタログ。
同社のECサイトでは全アイテムが取り扱われているが、総合カタログでは分野別に掲載商品を絞り込み、20ページ程度にまとめた。来店者への店頭渡しやDMでの使用のため、かなりコンパクトな仕様となっている。

ハーブ商品の通販総合カタログ。エンドユーザー向けに20ページでコンパクトにまとめた店舗・通販併用の総合カタログ
ハーブ商品の通販総合カタログ

ハーブ商品を主に販売する店舗用、通販用の総合カタログ。こちらもエンドユーザー向けに20ページ程度にコンパクトにまとめ上げた。

02総合カタログの効果的運用・管理

総合カタログは、刷り上がった瞬間から古びはじめます。新製品が出る。型番が変わる。廃番が出る。価格が改まる。数百点を抱える一冊であればなおのこと、変化の総量は膨大です。総合カタログの制作費は、刷った時点で終わらない。刷ってからの数年間、どう手を入れ、どう配り、どう回すか。そこまで含めて、はじめて費用対効果が測れます。

ところが多くの企業が、初版を刷るところまでで力尽きます。二年後、内容の合わなくなった一冊を前に「また一から作り直しか」と嘆息する。この繰り返しが、総合カタログを金食い虫に変えてしまう。運用を見越した設計は、初版の企画段階で仕込むものです。刷ってから考えるのでは遅い。

増刷で運用する|差替え印刷でコストを抑える

総合カタログのコストを管理する

総合カタログを一冊まるごと作り直すのは、最後の手段です。その前に打てる手があります。変わった箇所だけを刷り直す——差替え印刷という運用です。

これを可能にするのは、初版の設計です。改訂の生じやすい製品群を特定の台(折丁)にまとめておく。価格表は独立した折に隔離する。そうしておけば、次の増刷でその台だけを差し替えられる。逆に、改訂の多いページを誌面全体に散らしてしまえば、一箇所直すために全ページを刷り直すことになります。

製本の選定も効きます。無線綴じは美しいが、差替えが利かない。リング綴じやバインダー形式なら、ページ単位の交換が可能です。美しさと可変性、どちらを取るか。これは意匠の問題ではなく、経営の問題です。

一歩進んだ総合カタログ運用のあり方

総合カタログのコストは、制作費と印刷費だけではありません。倉庫代、配送費、そして廃棄費。ここが見落とされがちです。

「まとめて刷れば単価が下がる」——印刷の世界では真実です。5,000部より10,000部のほうが、一冊あたりは安い。しかし改訂までに5,000部しか捌けなければ、残る5,000部は倉庫を圧迫し、やがて紙屑として処分費を生みます。安く刷った一冊が、最も高くつく。この逆説を、私どもは何度も見てきました。

算盤を弾くべきは、印刷単価ではなく実配布部数あたりの総コストです。保管期間、改訂サイクル、年間の消費実績。この三点を押さえれば、適正部数は自ずと定まります。

総合カタログをPDF化してWebで運用する

印刷用に組んだデータは、そのままPDFとしてWebに載せられます。追加費用はほぼ生じません。ならばやらない理由がない——と申し上げたいところですが、ここに落とし穴があります。

印刷用データをそのまま書き出したPDFは、往々にして重すぎる。300ページの総合カタログが数百メガバイトに膨れ上がり、顧客が開く前に離脱します。画像解像度を落とし、フォントを埋め込み直し、Web用に最適化する工程が要る。ひと手間ですが、この一手間を惜しむと誰にも読まれないPDFが出来上がります。

そしてもうひとつ。PDFはGoogleにインデックスされます。テキストが検索可能な形で埋め込まれていれば、製品名で検索した顧客がPDFに直接辿り着く。紙の副産物が、集客装置に変わる。画像として書き出したPDFでは、この恩恵は得られません。

ただし、紙とWebで内容が食い違えば元も子もありません。紙が最新版、PDFが二年前の版——この不整合が、顧客の信頼を静かに蝕みます。増刷のたびにPDFも差し替える。当たり前のようでいて、運用体制を組んでおかなければ必ず綻ぶ箇所です。

特殊大型建設機械の総合カタログ表紙。紙の総合カタログをそのままWeb公開用データ化し、印刷物とWebで併用運用した事例
特殊大型建設機械の総合カタログ

特殊大型建設機械の販売を事業とする企業の総合カタログ。
その総合カタログをそっくりそのまま、ページめくりデータ化した。このデータを同社のWebサイトで公開し、Webカタログを実現させた。

総合カタログの用途別インデックス目次と製品情報ページ。使われる現場から製品を引ける切り口別の検索性設計
用途別にインデックスされた目次(上)製品情報ページ(下)

03総合カタログの検索性|目次・インデックスの設計

本稿の中核へ入ります。総合カタログの成否を最終的に決めるのは、意匠でも紙質でもありません。顧客が、探しているものに辿り着けるかどうか。この一点です。

先に「総合カタログは、読まれる本ではなく、引かれる本である」と申しました。引かれる本の価値は、引きやすさで決まります。どれほど美しい誌面も、目当ての一点に辿り着けなければ、顧客にとっては白紙と変わらない。ここを疎かにした総合カタログは、机の脇に積まれたまま二度と開かれません。

検索性は総合カタログの命|カテゴリー設計は着手前に決める

検索性は、総合カタログの命です。そして検索性は、誌面をデザインする段階では、もう手遅れです。

順序を申し上げます。まず全品目を洗い出し、分類し、階層を組む。どのカテゴリーを大見出しに置き、どこを中分類とし、何を小分類に沈めるか。この骨格が定まって、はじめてページ配分が決まり、台割が引け、誌面設計に入れる。カテゴリー設計は、デザインの前提条件であって、デザインの一部ではありません。

ところが現場では、これが逆になります。とりあえず前回のカタログを開き、そこに新製品を差し込んでいく。廃番は抜き、増えた分は末尾に足す。数年これを繰り返せば、分類はいつしか原型を失い、どこに何があるのか、作った当人にも分からなくなる。総合カタログの改訂が地獄になる原因の大半は、ここにあります。

改訂を機に、分類体系を白紙から組み直す。手間はかかります。しかしその手間は、以後数年にわたって回収されます。

切り口を選ぶ|品種別・目的別・用途別のカテゴライズ

分類には、正解がありません。あるのは切り口の選択だけです。そして切り口は、作り手の都合ではなく、顧客の探し方から選びます。

代表的な切り口は三つ。品種別は、製品そのものの種類で括る分類です。社内の製品体系と一致するため作りやすく、型番を知っている顧客には最短の道を提供します。反面、何が欲しいか漠然としている顧客には、迷路になります。

目的別は、顧客が何を成したいかで括ります。「配管を繋ぐ」「防水する」「振動を抑える」——製品名を知らずとも辿り着ける。新規顧客や、他部署から異動してきた担当者に効きます。ただし一製品が複数の目的に跨がるため、重複掲載や参照リンクの設計が要ります。

用途別は、使われる場所・業界で括る分類です。「工場向け」「医療施設向け」「屋外設備向け」。業種の異なる顧客を抱える企業に向きます。自社の製品が、自分の現場で使えるのかどうか。その不安に直接答える切り口です。

肝要なのは、ひとつの切り口を主軸に据え、他を索引で補うことです。三つを同格に並べれば、誌面は三重になり、顧客はどの入口から入ればよいか分からなくなります。主軸はひとつ。残りは巻末の索引が引き受ける。迷わせないとは、入口をひとつに絞ることに他なりません。

山岳災害防止設備の総合カタログのビジュアルインデックス。山肌にCGで事業領域を一望させ、絵から製品ページへ導く検索性設計の目次デザイン
山岳災害防止設備の開発・施工企業の総合カタログ総インデックス

一見イメージカット風に見えるが、そのイメージをよく見ると右側面がいきなり雪山になっているという、ありえない山岳の風景。これはまさに同社のビジネスフィールドを一覧させたCGデザイン。オレンジ色や緑色等の付箋のように見えるのが、山岳の場面に即した事業領域を表している。CGだから実現できた視覚的に直感性の高いインデックスを実現した。
ここまでのリアルで且つ事業の全貌を俯瞰できるビジュアルINDEXは、入念な顧客からのヒアリングにより実現できるもので、度重なるセッションと数度に及ぶシミュレーション提示により仕上がったアウトプット。
これはまさに同社の企業ブランディングを、インデックスの1ページで体現させたものとも言える。

総合カタログのカテゴリーインデックス【崩壊土砂対策】。総インデックスCGをトリミングし営業現場のユーザビリティを高めた目次設計
各カテゴリーのインデックス【崩壊土砂対策】

上画像、総インデックスの中の左下を寄って拡大したCGデザイン。CG活用だからこそ可能せしめた独自のインデックスのスタイル。営業シーンにでは格段にユーザビリティが向上した。

総合カタログのカテゴリーインデックス【雪崩対策】。CG制作だからこそ山岳全体を雪山に変換できたインデックスデザイン
各カテゴリーのインデックス【雪崩対策】

こちらも総インデックスからのトリミングによるケテゴリーインデックス。ここでは山岳全体が雪山になっている。CGならではの小技。

総合カタログのカテゴリーインデックス【落石対策】。CGビジュアルで設置環境を再現し直感的に製品を引ける検索性設計
各カテゴリーのインデックス【落石対策】

インデックス設計の実例|検索性を決めるビジュアルINDEX

切り口が定まれば、次はそれを顧客の指先に届く形に落とします。目次、インデックス、ツメ、索引。名は違えど、いずれも「引く」ための装置です。

文字だけの目次は、実は読まれません。数百項目が並ぶ目次を上から追う顧客は、まずいない。目が滑るのです。そこで効くのがビジュアルインデックス——製品写真やアイコン、CGを並べ、絵で選ばせる索引です。人は文字より速く、絵を認識します。

私どもが手がけた山岳災害防止設備の総合カタログでは、製品を文字で並べるのではなく、山肌に各設備が設置された一枚のCGを描き、そのまま索引としました。顧客は自分の現場に近い光景を絵の中に見つけ、指を置く。そこから該当ページへ飛ぶ。カテゴリー名を知らずとも辿り着ける設計です。

ツメ(小口の色帯)も、地味ながら強力です。カタログを閉じたまま、小口の色を頼りに目的の章を開ける。分厚い設置型ほど効きます。印刷加工としては安価な部類でありながら、体感的な検索速度を最も変える一手と言えるでしょう。

設計の要諦は一つ。索引は、作り手の分類を見せる場ではなく、顧客の探し方を映す鏡である。自社の組織図がそのまま目次になっていないか。事業部の縦割りが、顧客に見えていないか。改訂のたびに、ここを疑う価値があります。

ここまで読み進めて、自社の総合カタログを思い浮かべた方もおられるでしょう。
あの目次は、顧客の探し方を映しているだろうか——と。
分類の切り口ひとつで、カタログは道具にも紙束にもなります。
とはいえ、自社の分類を自社で疑うのは難しいものです。
25年以上にわたり多品種の誌面を設計してきた第三者の目で、御社のカタログを拝見します。

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04総合カタログのコンテンツ設計|モノからコトへ

分類が定まり、索引が組めた。ならば残るは中身を流し込むだけか——そうはいきません。ここから先が、他社と決定的に差がつく領域です。

総合カタログは、その構造上、モノに引き寄せられる重力を持っています。掲載品目が増えるほど、一点あたりの誌面は痩せる。写真は小さくなり、説明は削られ、残るのは型番と寸法と価格。数百点を並べ終えたとき、そこに立ち現れるのは冊子ではなく、紙に印刷された製品リストです。

この重力に抗う設計が要ります。製品カタログなら一点を深く掘れる。営業カタログなら提案の物語を組める。しかし総合カタログは、網羅性という宿命を背負いながら、なお「この会社から買いたい」と思わせなければならない。もっとも難しい要求が、もっとも情報量の多い媒体に課されている。

製品情報の網羅だけでいいのか|総合カタログが陥る「リスト化」

仕様値は、嘘をつきません。だからこそ、誰が作っても同じになります。

寸法、材質、耐荷重、価格。これらを正確に並べた総合カタログは、正確であるがゆえに没個性です。競合他社の一冊と並べて、ロゴを隠したらどちらがどちらか分からない——そんな冊子が、世の中には数え切れないほど存在します。

そして顧客は、その中から選ばなければならない。何を頼りに選ぶか。仕様が拮抗すれば、最後は価格でしか比べられなくなります。リスト化した総合カタログは、自社を価格競争の土俵へ自ら引きずり込む装置です。

ここに、モノからコトへの転換が要る理由があります。モノは比較され、コトは記憶される。製品そのものを語るのをやめよ、という話ではありません。製品の周りにある文脈——なぜ作ったのか、誰が使い、何が変わったのか——を、誌面に呼び込むということです。

総合カタログに載せるべきコト情報|6つの差別化コンテンツ

では、何を載せるか。数百ページの誌面のうち、わずか数ページを割くだけで、冊子の性格は変わります。以下の6点は、私どもが実際に効果を確認してきた要素です。

製品コンセプト

その製品が「何のために生まれたか」を一文で示します。仕様表の前に一行あるだけで、読み手は数値の意味を理解できる。カテゴリー扉に置くのが最も効きます。

開発者のメッセージ

作り手の顔と言葉は、カタログに体温を通わせます。技術的な苦心や、こだわった一点。短くて構いません。語る人がいる製品は、語る人のいない製品に勝ちます。

キャラクターやマスコットの起用

分厚い総合カタログを、最後まで繰らせる仕掛けです。難解な技術説明の補助役として、あるいは各章の案内役として。BtoBだから不要、ということはありません。読むのは、やはり人です。

ユーザーの声・インタビュー

自社が百回語るより、顧客の一言が効きます。第三者の言葉は、カタログの中で唯一「宣伝ではないもの」として読まれるからです。第三者評価はWebだけでなくカタログという印刷クリエイティブにも効果があります。

導入事例

どこの、どんな現場で、何が起きたか。読み手は自社の状況を重ね、購入後の光景を思い描きます。事例とは、顧客が自分の未来を試着するための鏡です。

導入シミュレーション

導入までの流れ、必要な工期、概算費用。「買った後どうなるか」の不安を先回りして消します。稟議書を書く担当者にとって、この数ページが最大の援護射撃になります。


6点すべてを盛り込む必要はありません。むしろ一つか二つを深く据えるほうが、印象は鮮明に残ります。コト情報は、量ではなく密度で効く。製品リストの海に、読み手が息を継げる場所を用意する——そう考えれば、配置すべき箇所は自ずと見えてきます。

産業機器メーカーの総合カタログ表紙。モノ情報だけでなくコト情報を織り込み差別化を図った総合カタログ事例
産業機器メーカーの総合カタログ表紙
総合カタログの導入シミュレーションページ。複数機器の組合せを擬似パースで可視化し、価格競争を回避するコト情報の設計
総合カタログの導入シミュレーションページ

カタログのコンテンツの中で、なかなか表現できない同社のビジネスモデル、いわゆる最も売りとなる複数機器組合せによるシミュレーション。これを見ると業界関係者はその価値に他とは異なる可能性を見出すこととなる。
実はこのシミュレーションをなすのは擬似パースデザインで、使用場面によって大変強い効果を発揮する。

その他にも他社と差別化できるコンテンツは企業によって様々。これらの類いのコンテンツが、意思決定に大きく作用することは多頻度に発生することでは無いが、直接・間接にユーザーのメンタルに作用し、好感という情緒的な優位性を形成させること。実はこれが商談を有利たらしめる要因となったり、ひいては価格競争に陥らない要因ともなる。
これは製品を軸とした「モノ」だけではなく、「コト」の軸も導入した総合カタログへ転換させる弊社の提唱。

05総合カタログのデザイン品質|撮影とクリエイティブ

ここまで、分類を組み、索引を設計し、コト情報を仕込んできました。骨格は整った。ならば最後は肉付けです。

総合カタログのデザイン品質は、二つの要素で決まります。ひとつは素材そのものの質——とりわけ写真。もうひとつは数百ページを貫く一貫性。この二つは別の話に見えて、実は同じ根を持ちます。総合カタログの品質は、最も低い一点に引きずられる。百点の製品写真のうち、一点だけ粗い画像が混じれば、読み手はそこで冊子全体の格を測ってしまう。多品種を扱う媒体の、これが宿命です。

プロ撮影と印刷物スキャンの品質比較

総合カタログの制作で、必ず持ち上がる相談があります。「前のカタログから写真を流用できないか」。あるいは「メーカーの資料をスキャンして使えないか」。

結論を先に置きます。印刷物のスキャンは、撮影の代わりにはなりません。

理由は工程にあります。印刷物は、網点(あみてん)という微細な点の集合で色を再現しています。これをスキャンすれば、網点ごと取り込むことになる。それを再び網点に変換して印刷すれば、点と点が干渉し、モアレと呼ばれる縞模様が浮かびます。専用ソフトで網点を除去する処理はできますが、除去とは情報を削ることです。輪郭は甘くなり、質感は失われる。一度死んだ画素は、蘇りません。

加えて、色。印刷物はすでにCMYKへ変換された姿です。そこから再変換すれば、色域はさらに狭まる。金属の光沢、樹脂の透明感、塗装の深み——製品の価値を伝える要素が、二度の変換で削がれていきます。

とはいえ、現実には全品目を撮り下ろせないこともあります。数百点の製品を一点ずつ撮影すれば、費用も日数も膨らむ。ここで効くのが優先順位です。主力製品、扉に載る製品、大きく扱う製品は撮り下ろす。小さく並ぶ型番違いの製品は流用でしのぐ。誌面上の面積と、素材にかける投資を比例させる。これが現実解です。

ただし一点だけ、譲ってはならない箇所があります。表紙です。ここに流用素材を使えば、開く前に格が知れます。

総合カタログ用のプロ撮影による金属製品の画像。メタル感とシャープなシズル感を立体的に再現した撮り下ろし素材
金属の撮影画像

金属の持つメタル感や、シャープなシズル感がリアルに立体感をもって表現される。

印刷物スキャンによる金属製品の画像。コントラストが低下し網点のドットが現れ立体感を失った素材品質の比較例
印刷物からのスキャンデータ

何よりもコントラストが悪くなり、立体感がほとんどなく平たくノッペリとしている。スキャナーは正直に印刷のアミ点(スクリーン)を拾っているので画像にドットが現れている。これをきらいボカしをかけるが、益々リアル感は損なわれる。

総合カタログ用のプロ撮影による食品画像。被写体を忠実に再現しディテールの表現力で食欲を喚起する撮り下ろし素材
カステラの撮影画像

被写体(食べ物)を忠実に再現し、ディテールの表現力により食欲までそそられる。

印刷物スキャンによる食品画像。ディテールの再現力を欠きモアレが発生した、撮影素材との品質差を示す比較例
印刷物からのスキャンデータ

左の撮影画像とは異なり、ディテールの再現力が無く、あたかも画像上にフィルターをかけた仕上がりで、画像に主張が現れていない。画像に現れているモアレ(干渉する現象)もさらに品質を落とす。

総合カタログのデザインクオリティ|表紙と中面の一貫性

総合カタログのデザインが難しいのは、「美しくすること」より「揃えること」のほうが難しいからです。

数百ページ、数百点。カテゴリーごとに製品の性格は異なり、写真の形も色も揃わない。縦長の製品と横長の製品が隣り合う。黒い金属と白い樹脂が同じ見開きに並ぶ。ここに統一感を与えるのが、デザイナーの仕事です。

手立ては地味です。ルールを決め、守り抜く。製品名の位置、仕様表の罫線、写真の切り抜き基準、余白の取り方、色の使い分け。一度決めたら、300ページ最後まで貫く。派手な意匠より、この規律が誌面の品位を決めます。総合カタログのデザインとは、発明ではなく統治です。

そして表紙。総合カタログの表紙は、中面とは別の論理で作ります。中面が整理と規律の世界なら、表紙は企業の顔です。ここだけは、製品を並べる必要はありません。むしろ製品を退け、企業の姿勢や世界観を一枚で示す。棚に立てられ、机に置かれ、何年も人目に触れ続ける一枚だからです。

ただし、表紙と中面が断絶していては困ります。表紙の色調、書体、余白の呼吸——それらが中面に静かに引き継がれていること。顔と身体が同じ人格であること。この一貫性が、総合カタログを「立派な一冊」から「信頼できる一冊」へ引き上げます。

お受験グッズの総合カタログのミニマル版。桜の花弁を象りハトメで綴じた、ブランディング志向で意匠を極めた総合カタログデザイン
お受験グッズの総合カタログ

お受験グッズのベーシックな総合カタログをよりブランディング志向で極めた逸品。桜の花弁を象った総合カタログのミニマル版。下部のハトメで5枚の花弁が”サクラ咲く”で縁起が良い。

オフィスパーテーション・什器メーカーの総合カタログ。製品の機能美を誌面に転嫁し、アーティスティックなコンセプトで制作したデザイン
オフィスインテリアの総合カタログ

オフィスパーテーションや什器開発メーカーの総合カタログ。開発力・製品力の高さを象徴する機能性、独自のカラーリングや個性的なデザインの美。まさにこのカタログは製品の機能美を総合カタログに転嫁させ、クリエイティビティ&アーティスティックなデザインコンセプトで制作した。

06総合カタログのブランディングデザイン|プロダクトブランドを可視化する

最後に、総合カタログのもっとも高い次元の話をします。

ここまで語ってきた分類も、索引も、撮影も、すべては「探しやすく、正確に伝える」ための技術でした。しかしそれらを完璧に満たしてなお、顧客が競合を選ぶことがあります。仕様は同等、価格も拮抗、カタログの出来も悪くない。ならば何が両者を分けたのか。

ブランドです。正確には、この会社の製品なら間違いないという、言語化されない確信です。総合カタログは、この確信を醸成する装置たり得ます。数百点を束ねた一冊は、企業の総体が一望できる唯一の媒体だからです。

プロダクトブランドの重要性|最適性の集合がブランドをつくる

プロダクトブランドとは、ロゴでもキャッチコピーでもありません。製品そのものが積み重ねてきた「最適である」という実績の集合です。

この現場にはこの製品が最適だった。あの用途にはこの仕様が最適だった。その積み重ねが顧客の記憶に沈殿し、やがて「ここに頼めば最適解が出てくる」という信頼に変わる。ブランドとは、無数の最適解が結晶した名前です。

ではそれを、総合カタログでどう可視化するか。

手立ては、意外にも地味です。製品の並べ方そのものが、ブランドを語ります。用途ごとに最適な一点が的確に配置されている。守備範囲に隙がない。廉価版から高機能版まで、選択の階段が用意されている。この構造を誌面で見せられれば、顧客は無言のうちに理解します——この会社は、この領域を知り尽くしている、と。

逆に、製品が無秩序に並ぶ総合カタログは、それ自体が企業の姿を語ってしまいます。何が主力か分からない。似た製品が重複している。空白の用途がある。誌面の乱れは、事業の乱れとして読まれる。顧客は、そこまで見ています。

ゆえにブランディングデザインとは、飾り立てることではありません。企業がすでに持っている強さを、誌面の構造として顕在化させることです。第3章で語った分類設計が、ここで再び顔を出す。検索性の設計は、同時にブランドの設計でもあったのです。

総合食品商社の総合カタログ「MENU BOOK」。取扱商材を使った料理とレシピを紹介し、メニュー開発を提案する展示会特化型の総合カタログ
総合食品商社の総合カタログ

総合食品商社の総合カタログというには少々趣を異にするが、同社の取扱う食品商材群を使用した料理とそのレシピを紹介。カタログタイトルもユニークな「MENU BOOK」で、レストラン&飲食チェーンの展示会向けに特化したカタログ。同社商材を使用して新たなメニュー開発のヒントにさせるという、提案型のレシピ総合カタログ、とでも言えるもの。
同社ならではの商品ブランドの確立をなす。

提案型レシピ総合カタログの本文ページ。商材を料理として見せることで商品ブランドを確立した誌面デザイン
総合カタログの本稿各ページの一部

総合カタログと会社案内のハイブリッド|"企業総体"を示す

もうひとつ、有効な手があります。総合カタログに、会社案内を溶かし込むという設計です。

製品を選ぶとき、顧客が見ているのは製品だけではありません。この会社は何年続いているのか。どこに工場があるのか。品質保証の体制は。技術者は何人いるのか。設備投資に何を投じてきたのか。——製品の背後にある企業を、無意識に測っている。とりわけBtoBの取引は長期に及びます。買うのは製品であり、選ぶのは会社です。

ならば、その情報を別冊にして渡す必要はありません。総合カタログの巻頭に企業理念を、中扉に製造拠点の写真を、巻末に品質保証体制と沿革を置く。製品ページの合間に、技術者の顔と言葉を挟む。製品の海の中に、企業の輪郭を織り込む。

この設計の妙味は、読まれる確率にあります。会社案内は、渡されても読まれません。しかし総合カタログは、製品を探すために必ず開かれる。開かれた冊子の中に企業情報が編み込まれていれば、顧客は探しものの道すがら、自然にそれを目にします。読ませたい情報は、読まざるを得ない場所に置く。広報の常道です。

ただし、分量には節度が要ります。企業情報が製品を圧迫すれば、本末転倒。あくまで主役は製品であり、企業はその背後に静かに立っている。語りすぎない企業ほど、大きく見える。この呼吸を掴めた総合カタログは、一冊で製品を売り、同時に会社を売ります。

総合カタログとは、突き詰めれば企業がその事業のすべてを一冊に編み上げた自画像です。分類の思想に事業観が現れ、索引の設計に顧客観が現れ、誌面の規律に企業の品格が現れる。だからこそ、この一冊は手を抜けません。刷り上がった総合カタログは、数年にわたって取引先の棚に立ち、静かに、しかし雄弁に、あなたの会社を語り続けるのですから。

災害防止設備の開発・施工企業の総合カタログ表紙。約90ページ中20ページを企業情報に割いた会社案内ハイブリッド型の総合カタログ
災害防止設備の開発・施工企業の総合カタログ表紙

総合カタログと共に、実は同社の「会社案内」レベルで企業情報が充実したハイブリッドタイプ。そのため表紙には総合カタログとも会社案内とも記載が無い。約90ページの内、企業情報は20ページをも費やす贅。

総合カタログに収載した代表者挨拶ページ。製品情報と企業情報を一冊に統合し企業総体を示すハイブリッド設計
代表者挨拶
総合カタログの研究開発ページ。設備・機器の開発製造体制とスピリットを語り、プロダクトブランドを裏付ける企業情報
研究開発

設備・機器の開発製造も行う企業ならではの体制やスピリットを語る。

総合カタログの事業内容ページ。8ページを割いて事業領域を解説し、会社案内としても機能させたハイブリッド型の誌面
事業内容

事業内容で8ページの紙面を割いている。

総合カタログの業務内容ページ。企業の実務体制を示すことで製品への信頼を補強する企業情報の設計
業務内容
総合カタログの施工実績ページ。日本地図を素材に実績を可視化し、文字情報だけの実績紹介との差別化を図った誌面デザイン
施工実績

国内の代表的な実績を紹介。施工実績一つの紹介もこのように日本地図を素材に表現することで、閲覧者の吸収度・刷り込み度がまるで違う。
差別性、独自性を目指す総合カタログだったら、施工実績は少なくともありがちな文字情報だけとするのは避けたいものです。
他に海外の施工実績も紹介するページを設けています。

総合カタログの製品ページ【崩壊土砂対策】。カテゴリーインデックスから遷移する製品情報の誌面設計
崩壊土砂対策のカタログページ
総合カタログの製品ページ【落石対策】。統一フォーマットで仕様と施工事例を整理した製品情報ページ
落石対策のカタログページ
総合カタログの製品ページ【雪崩対策】。ビジュアルインデックスと連動した製品情報の誌面デザイン
雪崩対策のカタログページ


ここまで見てきた検索性やコンテンツ設計は、いずれも制作に着手する前の段取りで決まります。総合カタログを実際に発注する際、どの順に何を固めるべきか。その手順を15のステップに整理しています。 ▶ カタログ制作の手順と進め方|カタログ作成で失敗しない15ステップ


総合カタログは、一度作れば数年にわたって御社を語り続けます。
だからこそ、分類の一手、目次の一枚、表紙の一葉まで、疎かにできません。
企画のとっかかりでも、既存カタログへの違和感でも構いません。まだ形にならない段階のご相談こそ、私どもの出番です。
実作品を手に、御社の事業を伺うところから始めさせてください。

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ここまで、総合カタログの設計を六つの視点から述べてきました。
とはいえ、言葉で語れることには限りがあります。実際の誌面をご覧いただくのが、いちばん早い。
総合カタログを含む厳選20作品を、大迫力の誌面でご紹介しています。