05パンフレット制作のデザイン評価軸|6つのモチーフ別設計と発注先の見極め方

パンフレット制作のポイント

パンフレットのデザインは、発注先を見極める判断材料になる。
表現の意図を読めば力量がわかります。


制作会社を比較するとき、多くの方が制作実績のデザインをご覧になります。
ただ「きれいかどうか」で見比べても、力量の差は見えてきません。見るべきは、なぜその表現を選んだのかという意図です。
何をモチーフに据え、どんな判断でその見せ方にしたのか。このページでは、6つのモチーフ別に設計の意図を解き明かし、
発注先を見極めるための評価軸として整理します。

▼このページの要点|パンフレット制作のデザイン評価軸デザインの良し悪しは、好みでは判断できません。何をモチーフに据えたのか、その選択に理由があるかどうかで見分けます。表現の意図を説明できる制作会社と、できない制作会社では、成果物の質が変わります。

このページでわかること

  1. デザインが発注先選定の判断材料になる理由
  2. 良し悪しを見分ける5つの評価観点
  3. 製品モチーフ|製品そのものを主役にする設計
  4. サービスモチーフ|形のない価値を可視化する設計
  5. メッセージモチーフ|言葉を主役にする設計
  6. デザイン力のある制作会社の見極め方|導入後の未来を見せる設計
  7. 海外向け|翻訳では通用しない情報設計の再定義

このページは、パンフレット制作の全体像を解説する特集「パンフレット制作の進め方」の一部です。
デザインの評価は、目的と仕様が固まったあと、どの制作会社に任せるかを判断する段階にあたります。
発注までの流れを最初から確認したい方は、パンフレット制作メインページからご覧ください。

デザインが発注先の判断材料になる理由《表現には意図がある》

パンフレットのデザインモチーフ

「きれいかどうか」で比べても、力量の差は見えません。

パンフレットが認識され、識別される要素として、図版・写真・色彩・文字といった視覚的要素が最も大きく働きます。識別という点でブランディングの原点であり、デザインの品質が、中身の製品やサービスの品質そのものと受け取られます。
そして制作会社を比較するとき、発注者が最初に見るのも制作実績のデザインです。

見るべきは「きれいかどうか」ではなく、なぜその表現を選んだのかという意図です。


会社案内とは異なり、パンフレットは個別の要件に対して直接的な効果を求める媒体です。表現も比較的直接的になり、何をモチーフに据えるかという選択が、そのまま設計の意図を表します。 次の項目から、6つのモチーフごとに、どのような判断でその表現を選ぶのかを解説します。

デザインの良し悪しを見分ける5つの評価観点《発注前の判断軸》

好みではなく、この5点で判断してください。

デザインの評価は感覚に頼りがちですが、発注の判断材料にするなら観点が必要です。制作実績を見比べる際に、次の5点をご確認ください。

デザインを評価する5つの観点

評価の観点確認すること見分け方
目的との整合 営業か採用か、その目的に沿った表現になっているか 同じ制作会社の実績で、目的ごとに表現が変わっているか
モチーフの必然性 なぜその題材を主役に据えたのか説明できるか 業種や商材と無関係な装飾で埋まっていないか
情報の優先順位 最も伝えたいことが、最初に目に入る位置にあるか 情報が均等に並び、どこを見ればよいか迷わないか
読ませる設計 文字組み、行間、余白が読む負担を減らしているか 詰め込まれた誌面と、読ませる誌面を見比べる
ブランドの一貫性 表紙から中面まで、印象が途切れずつながっているか ページごとに別の媒体のように見えないか

この5点は、完成したパンフレットだけでなく、制作会社の実績一覧を見るときにも使えます。複数の実績を並べて、目的ごとに表現が変わっているかを確認してください。

デザイン実績を見比べても判断がつかないという方へ。
貴社の目的と伝えたいことをお伺いすれば、どのような表現が適するかをご提案します。

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製品モチーフ|製品そのものを主役にする設計

製品をそのまま、あるいは特徴的な一部をイメージカットとしてレイアウトする手法です。表紙で用いると最も効果を発揮します。
製品の形状や質感に説得力がある商材では、余計な装飾を足さないことが判断になります。何を見せ、何を削るか。この取捨選択に制作会社の力量が表れます。

製品モチーフの設計例。主力となる製品を表紙の中央に大きく据え、余計な装飾を足さずに製品そのものの存在感で信頼を伝えている。
株式会社アイディエス 様 製品パンフレット

医療用「検体搬送システム」で世界シェアNo,1を誇るリーディングカンパニーの製品パンフレット。そのトップシェアの製品がセンターに大きく構える表紙デザイン。

製品モチーフの設計例。製品をインテリア家電のように配置し、その製品色を誌面全体のコンセプトカラーへ展開している誌面です。
株式会社サンオート 様 製品パンフレット

取扱い製品の電位治療器を表紙にインテリア家電風にセンス良く配置。パンフレット全体の色調も製品色に合わせサーモンピンクをコンセプトカラーに仕立て、製品をより一層引立てている。

製品モチーフの設計例。製品の形状をシンボリックなイラストへ置き換え、採用媒体としての親しみやすさを両立させている誌面です。
小林産業株式会社 様 採用パンフレット

東証一部上場のネジ製造メーカーの採用パンフレット。ネジの形状をシンボリックにイラストレーションで表現した、とてもユニークなデザイン。

サービスモチーフ|形のない価値を可視化する設計

事業推進の場面や、事業によって得られる成果をモチーフに据える手法です。
サービスには形がないため、そのままでは誌面に載せられません。どの場面を切り取れば価値が伝わるかを判断し、視覚化する必要があります。
この翻訳ができているかどうかが、評価の分かれ目です。

サービスモチーフの設計例。形のない事業を、それが提供されている現場そのものを写した写真によって可視化している誌面構成です。
株式会社M・R・S 様 事業パンフレット

世界各国の料理を日本仕様にローカライズせず、飲食店の経営・コンサルを行う企業のパンフレットデザイン。各種料理、厨房スタッフ、レストラン店内の写真がそのモチーフ。

サービスモチーフの設計例。事業の対象となる自然の要素を表紙の中心に据え、躍動感と清涼感によって事業内容を伝えている誌面。
昱(あきら)株式会社 様 事業パンフレット

小水力発電システムを事業とする企業の営業パンフレット。表紙のセンターには水をモチーフに躍動感溢れ、清涼感あるデザインに仕上げた。

サービスモチーフの設計例。サービスを提供している場面を切り取り、働く姿そのものから仕事の内容を伝えている採用向けの誌面。
株式会社ニチイ学館 様 採用パンフレット

医療・教育・介護事業を展開する同社が運営する、ドッグサロン&ホテルのグルーマー採用のパンフレット。サロンスタッフが愛犬をグルーミングするシーンがモチーフ。

ロゴ・ブランディングモチーフ|ブランド資産を軸にする設計

プロダクトブランドやサービスブランドをモチーフに、パンフレット全体のデザインスタイルへ反映させる手法です。
すでに認知されているブランド資産がある場合に有効で、ブランド価値への誇りを誌面から感じさせる力があります。
既存のロゴやカラーを、印刷物という別の媒体でどう展開するか。ここに設計力が問われます。

ロゴ・ブランディングモチーフの設計例。認知度の高いシンボルを大胆に主役へ据え、ブランド資産を誌面へ展開している構成です。
株式会社アルク教育社 様 事業パンフレット

英語教育で知名度の高い同社のパンフレット同社の有名なシンボルであるロゴの「ウォーウィー」。大胆なロゴモチーフのデザイン。

ロゴ・ブランディングモチーフの設計例。業界の共通言語となったブランド名を軸に据えて、周年記念の誌面として構成しています。
株式会社尾崎製作所 周年記念パンフレット

ブランド名「Peacock」が、ダイヤルゲージの業界では共通言語となるほどの実績を誇る、計測機器メーカーの100周年記念パンフレット。

ロゴ・ブランディングモチーフの設計例。街の目印として知られる自社の建物を表紙に据え、外観そのものを識別記号としています。
日の丸自動車学校 様 スクールパンフレット

山手線恵比寿・目黒駅間で見える、赤い球体がシンボルの自動車学校パンフレット。ロゴやブランディングそのものではないが、表紙にこの建物の写真をレイアウトすることは、それ自体が立派なブランディング。

イラスト・エコロジーモチーフ|感性と情緒に訴える設計

素朴なイラストやオーガニックな表現は、人の感性や情緒に訴える力を持ちます。
写真では硬くなりすぎる場面や、親しみやすさを前に出したい媒体で選ばれます。ただし業種や商材との整合を欠けば、印象だけが浮いてしまいます。
なぜこの表現を選んだのかを説明できるかどうかが、判断の基準になります。

イラストモチーフの設計例。柔らかなタッチの描画によって、手術を控えた患者さんの不安をやわらげることを意図した誌面構成です。
耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院 様 クリニックパンフレット

耳鼻科クリニックの入院・手術の心得となるパンフレット。優しいタッチのイラストが手術前の患者の不安を和らげる。

イラストモチーフの設計例。社員の写真をトレースして素朴な描画へ転換し、実直で温和な社風を求職者へ伝えている誌面構成です。
株式会社第一ビルメンテナンス 様 採用パンフレット

社員実写をトレースし、素朴なイラストタッチに仕上げた。プラスでも無いマイナスでも無い実直で温和な社風をデザイン表現でき、企業の姿を求職者に素直に伝えることができた。

イラストモチーフの設計例。誌面の全面をイラストで構成することで、複雑で敷居が高いとされる商材を身近な印象へ転換している。
株式会社トラストクリエーション 様 営業パンフレット

投資マンションを販売する不動産会社のパンフレット。表紙だけでなく、パンフレット全面にわたったイラストデザインが、個人投資家には複雑で見えにくい「マンション投資」を、より身近な物として敷居を低く馴染みやすいイメージづくりができた。

メッセージモチーフ|言葉を主役にする設計

キャッチコピー、コンセプトワード、タイポグラフィによる表現です。
文字や文章そのものがデザインの中核となり、感性で事業を伝えます。写真や図版に頼らないぶん、言葉の強度と文字組みの精度がそのまま品質になります。
コピーライティングと組版の両方を担える体制があるかどうかが、この表現を選べる条件です。

メッセージモチーフの設計例。表紙のコピーそのものを主役に据えて、対象を限定した事業の特性を言葉だけで伝えている誌面構成。
学習塾PIC 様 塾生徒募集パンフレット

慶應義塾大学医学部への進学塾だが、いわゆる”内部進学”という、募集は慶應関係校の生徒のみという非常にニッチな学習塾。ストレートに表紙のコピーで表現。この文字表現が文字デザインとしてパンフレット表紙で主張する。

メッセージモチーフの設計例。開発の対象となる地名を英字のタイポグラフィへ置き換えて、文字を主役として構成している誌面です。
三菱地所株式会社 様 広報パンフレット

大手不動産デベロッパーの「大手町・丸の内・有楽町」の開発計画広報を目的とするパンフレットで、まさにその地名を英字タイポグラフィでデザインした。

メッセージモチーフの設計例。施設名をあえて小さく配することで、伝えたい言葉を引き立てているタイポグラフィ主体の誌面構成。
株式会社ケアリッツ・アンド・パートナーズ 様 施設パンフレット

サービス高齢者住宅の紹介パンフレット。あえて施設名は表紙左下に小さく表示することでメッセージを引き立たせた。その文字はエレガントなタイポグラフィで表現されるデザインモチーフとなっている。

効果イメージモチーフ|導入後の未来を見せる設計

製品やサービスの導入によって得られる効果や成果を、ビジュアル化する手法です。
読み手の想像力と期待感を喚起します。製品そのものより、導入後に何が変わるかを伝えたい場合に選びます。
BtoBの商材で、決裁者に価値を届ける必要がある場面で有効です。

効果イメージモチーフの設計例。導入によって対策が完結する状態を図で示して、型抜き加工によって実感を高めている誌面構成です。
株式会社エスピープランニング 様 製品パンフレット

自社開発の無停電装置を設置することが防災対策の最後の一手、という主旨を伝えるデザイン。このピースを埋めると対策がコンプリートするイメージ。ピース部分は型抜きしているから、リアリティが一層高くなる。

効果イメージモチーフの設計例。システムの管理画面をCGで再現して、導入後に何が見えるようになるのかを示している誌面構成。
株式会社アイディエス 様 システムパンフレット

医療用「検体搬送システム」の検査情報を一元管理するソフトウェアのパンフレット。情報管理システムの管理画面で表示されるフロー画面イメージをCG化で表現した。

効果イメージモチーフの設計例。製品そのものではなく、その製品がもたらす遮断という効果をビジュアル化している誌面構成です。
東洋紡スペシャルティズトレーディング株式会社 様 製品パンフレット

自社開発の遮熱性の高い化学繊維製品の、その熱を遮断するイメージを表現した、効果イメージモチーフのデザイン。

本ページでは各モチーフを3点ずつご紹介しました。
業種別・目的別にさらに多くの実物をご覧になりたい方は、制作実績の一覧をご確認ください。

デザイン力のある制作会社の見極め方《発注前の確認事項》

実績の点数ではなく、説明できるかどうかで判断します。

デザインの評価軸を持ったうえで、制作会社をどう見極めるか。発注前に確認していただきたい3点を挙げます。

01. 表現の意図を説明できるか

実績を見せてもらった際に、「なぜこのモチーフを選んだのか」を尋ねてください。
目的、読み手、商材の特性から説明できる会社は、貴社の案件でも同じ思考で設計します。
「かっこいいから」「トレンドだから」しか返ってこない場合、企画・構成の工程を持っていない可能性があります。

02. 目的ごとに表現が変わっているか

同じ制作会社の実績を複数並べて、営業用と採用用で表現が変わっているかをご確認ください。
すべて似た印象であれば、目的に合わせて設計しているのではなく、その会社の得意な型に当てはめているだけかもしれません。

03. 貴社に近い業種・目的の実績があるか

件数の多さは判断材料になりません。確認すべきは、貴社に近い実績があるかどうかです。
業種が近ければ、読み手が何を根拠に判断するかを理解しています。目的が近ければ、情報の優先順位の付け方を知っています。

デザイン以外の比較の観点、実績の近さや体制の見方については、制作会社の選び方で詳しく解説しています。

弊社の実績についても、なぜその表現にしたのかをご説明します。
貴社の目的と商材をお伺いしたうえで、適した設計をご提案します。

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よくある質問【FAQ】

Q1|パンフレットのデザインは、何を基準に良し悪しを判断すればよいですか?

A1|好みではなく、目的との整合で判断します。

営業で使うのか採用で配るのか、その目的に沿った表現になっているかが第一の基準です。加えて、モチーフの必然性、情報の優先順位、読ませる設計、ブランドの一貫性という観点があります。

Q2|デザインの好みが社内で分かれる場合はどうすればよいですか?

A2|好みではなく、目的を判断の基準に戻してください。

「誰に、どの場面で渡し、どう動いてほしいのか」に照らせば、選ぶべき表現は絞られます。制作会社に判断の理由を説明させることで、社内の合意も取りやすくなります。

Q3|制作実績が多い会社を選べばデザインは安心ですか?

A3|件数だけでは判断できません。貴社に近い実績があるかを確認してください。

業種や目的が近ければ、読み手が何を根拠に判断するかを理解しています。実績数は対応力の目安にはなりますが、貴社の案件に合うかどうかとは別の話です。

Q4|デザイン案は何案出してもらえますか?

A4|案件により異なりますが、複数案からお選びいただく進め方が一般的です。

ただし案の数より、それぞれに設計意図の説明があるかどうかが重要です。理由の伴わない案を並べられても、選ぶ基準を持てません。

Q5|デザインにこだわると費用は上がりますか?

A5|表現の選択そのものより、撮影やイラスト、特殊加工の有無が費用に影響します。

モチーフの選び方は設計上の判断であり、それ自体で費用が大きく変わるものではありません。何にいくらかかるかは、費用のページで内訳を公開しています。

Q6|既存のロゴやブランドカラーは活かせますか?

A6|活かせます。むしろ既存のブランド資産がある場合は、それを軸に設計します。

ロゴやカラーを印刷物という別の媒体でどう展開するかが、設計の要点になります。ブランドガイドラインがあれば、事前にご共有ください。


どんなデザインが自社に合うのか、判断がつかない方
目的と伝えたいことをお伺いできれば、その意図に合う表現をご提案します。
パンフレット専科《アイムアンドカンパニー株式会社》の豊富な実績と専門クリエイター陣がトータルでサポートします。

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本ページの監修
本ページの監修者 村田 明英
村田 明英(Akihide Murata)

アイムアンドカンパニー株式会社 代表取締役社長
エグゼクティブ・プロデューサー/コラム執筆エディター

1999年の創業以来、四半世紀にわたり会社案内・パンフレット・カタログの制作に従事。
「お客様の事業支援」を理念に、累計3,000件以上の制作実績で企業のビジネスを支援。
パンフレット専科には1,700点以上の制作実績を掲載しています。

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最終更新日:2026年08月22日