06AI時代のパンフレット制作|AIでできること・できないことを工程別に検証

パンフレット制作のポイント

AIはパンフレットのたたき台までは作れる。ただし印刷できるデータには到達しない。


生成AIの普及で、「パンフレットも自社で作れるのではないか」という声を伺うようになりました。
結論から申し上げると、構成案やコピーのたたき台までは実際に作れます。
できないのは、そこから先です。
このページでは、パンフレット制作の6工程にAIを当てはめ、
どこまで代替できて、どこで止まるのかを検証します。
AIを否定するためではなく、どこに使えば効くのかをお伝えするためです。

▼このページの要点|AI時代のパンフレット制作 AIはパンフレットのたたき台までは作れますが、印刷できるデータには到達しません。分岐点は「画面で見るもの」か「紙で配るもの」かにあります。

このページでわかること

  1. 制作6工程のどこまでAIが代替できるのか
  2. AI生成画像が印刷で使えない4つの理由
  3. 日本語組版という、AIが最も苦手とする領域
  4. 「作れる」と「社内で通る」は違うという現実
  5. AIを使うべき3つの場面
  6. AIで作った案を制作会社に持ち込むという最適解
このページは、パンフレット制作の全体像を解説する特集「パンフレット制作の進め方」の一部です。
AIの活用可否は、企画から印刷までの工程のうち「どこを自社で担い、どこを委ねるか」を決める判断材料にあたります。
発注までの流れを最初から確認したい方は、パンフレット制作メインページからご覧ください。

結論|AIは「たたき台」まで。印刷物には届かない

分岐点は「画面で見るもの」か、「紙で配るもの」かにあります。

生成AIでパンフレットらしきものを作ることは、すでに可能です。 問題は、それが印刷所へ入稿できるデータかどうか、そして社内で承認されるかどうかです。

AIが得意なのは、言葉と画像を「生成する」ことです。 苦手なのは、実在する自社の情報を「集める」ことと、物理的な印刷条件を「満たす」ことです。 パンフレット制作は、AIが不得意なこれら2つの工程が大半を占めます。従ってAIで完結はしません。 AIで作れるのは「パンフレットのように見えるもの」であって、「配れるパンフレット」ではありません。

制作6工程にAIを当てはめる《どこまで代替できるのか》

工程ごとに見れば、AIが止まる場所ははっきりしています。

パンフレット制作の見積書は6つの項目で構成されます。その1つずつに、AIが代替できるかを当てはめてみます。

制作6工程とAIの代替可否

工 程AIの代替可否止まる理由
① 企画・構成 △ たたき台は作れる 一般論は書けるが、自社の強みと社内の合意は持っていない
② 取材・原稿 △ 文章は書ける 現場へ行って聞き出すことができない。実在する社内の事実を知らない
③ 撮影 ✕ 代替不可 自社の設備・製品・社員は、実際に撮影するしかない
④ デザイン △ 案は出る 入稿データの要件を満たせない(後述)
⑤ ディレクション ✕ 代替不可 社内の意思決定と調整は人間の仕事(後述)
⑥ 印刷・加工 ✕ 代替不可 物理工程

以上△が3つ、✕が3つです。そして△の3つも、「たたき台まで」であって完成には届きません。 注目していただきたいのは、AIが止まる理由が技術の未熟さではないという点です。 AIが持っていないのは能力ではなく、貴社の情報と、現場と、意思決定です。 これらは時間が経てば解決する類のものではありません。自社の事実は、自社の中にしかないからです。

AI生成画像が印刷で使えない《4つの理由》

画面できれいに見える画像が、紙で同じように出ることはありません。

ここが、AIでの自作が実務で頓挫する最大の地点です。いずれも「調整すれば何とかなる」ものではなく、仕様上の非互換です。

01. 色の方式が違う《RGBとCMYK》

画面はRGB(光の三原色)、印刷はCMYK(印刷用インキの4色)で色を表現します。AIが生成する画像はRGBです。
RGBを印刷用に変換すると、鮮やかな青や緑はくすみます。特に蛍光色に近い発色は、印刷では再現できません。
画面で決めた色が、刷り上がりで別物になります。

02. 解像度が足りない

印刷に必要な解像度は、原寸で350dpiが基準です。生成画像の多くは、これを大きく下回ります。
引き伸ばせば輪郭がぼやけ、A4サイズに使えば粗さがはっきり出ます。画面上では判別できないため、刷り上がって初めて気づくことになります。

03. 塗り足しがない

印刷物は、仕上がりサイズより大きく刷って断裁します。そのため上下左右に3mmの「塗り足し」を付けたデータが必要です。
AIが出力するのは画面用の画像であり、この余白の概念を持ちません。背景を断ち切りで使うデザインは、そのままでは成立しません。

04. 商用利用の権利が確認できない

企業のパンフレットは商用の配布物です。生成画像の学習元、権利の所在、商用利用の可否は、ツールや契約により条件が異なります。
対外的に配布する印刷物で、権利の裏付けが取れない画像を使う判断は、企業のリスク管理としてお勧めできません。

【参照情報】要確認:印刷条件の数値をご確認ください
◎印刷解像度の基準|原寸350dpi
◎塗り足し|上下左右3mm
◎色方式|印刷はCMYK
※上記は一般的な商業印刷の基準として記載。弊社の入稿基準と差異があれば修正します。

日本語組版という壁《AIが最も苦手とする領域》

文字が読めることと、文字が組めていることは別です。

見落とされがちですが、日本語の印刷物には細かな決まりごとがあります。守られていないと、読み手は理由を説明できないまま「安っぽい」と感じます。


禁則処理(行頭に句読点や閉じ括弧を置かない)
約物の詰め(括弧や中点の前後の空き調整)
和文と欧文の間の四分アキ
行間・字間の設計(読ませる文章と、見せる見出しで変える)
縦組みでの数字・英字の扱い


これらは自動では最適化されません。組版ソフト上で、人が判断して調整する領域です。 AIが出力したレイアウト案をそのまま印刷すると、内容は正しいのに読みにくい、という状態になります。 印刷物のDTP(デスクトップ・パブリッシング)は思いのほか難易度の高い作業として、リスクが伴うため、プロに任せることをお勧めします。
企業パンフレットの品質は、多くの場合この「見えない調整」の量で決まります。

「作れる」と「社内で通る」は違う《決裁で止まる3つの場面》

自作が頓挫する原因の多くは、技術ではなく社内にあります。

仮にAIで形になったとしても、企業のパンフレットは1人では完成しません。実務でよく起きる3つの場面を挙げます。

01. 掲載内容の合意が取れない

何を載せ、何を外すか。これは技術の問題ではなく、組織・部門間の調整です。
営業は製品を厚くしたい。人事は職場の雰囲気を出したい。経営は理念を掲げたい。AIはこの調整をしません。たたき台が増えるほど、議論は発散します。

02. 写真が用意できない

生成画像には、実在しない人物と、実在しない製品が写ります。企業パンフレットに、存在しない自社の設備を載せることはできません。
結局、自社の実物を撮影する必要があり、ここでAI活用は止まります。

03. 責任の所在が定まらない

誤記や表現の問題が起きたとき、誰が確認したのかが問われます。
生成物をそのまま使った場合、社内で説明が立ちません。対外的な配布物には、内容を確認し、責任を負う人が必要です。

AIを使うべき3つの場面《正しい使いどころ》

AIは使わないほうがよいのではなく、使う場所を選ぶものです。

ここまで限界を挙げてきましたが、AIが有効な場面は確かにあります。弊社も制作の現場で活用しています。

01. 要件を言語化するとき

「どんなパンフレットを作りたいか」を言葉にする作業に、AIは有効です。
目的、想定読者、伝えたいことをAIと壁打ちすれば、社内で共有できる形に整理できます。これは制作会社へ渡す要件定義そのものになります。

02. 構成のたたき台を作るとき

ページ構成の案を複数パターンを出させ、社内で叩く。
ゼロから会議で考えるより、はるかに速く進みます。ただし採用するのは「議論の起点」としてです。そのまま完成形にはしません。

03. 情報を集めて整理するとき

競合が何を訴求しているか、業界でどんな表現が使われているか。ユーザーの課題状況を知りたい。 こうした競合調査や市場分析の下調べは、AIで効率化できます。


プロお勧めのワンポイントテクニック-01

AIに「パンフレットを作らせる」のではなく、「発注者側の思考を整理させる」使い方をお勧めします。
具体的には、AIに次の役割を与えてください。「あなたは制作会社のディレクターです。私の会社のパンフレットを作るために、必要な情報を10個質問してください」 出てきた質問に答えていけば、それがそのまま要件定義になります。この状態で制作会社に相談されると、初回打ち合わせの精度が跳ね上がり、結果として制作期間も費用も圧縮できます。


AIで作った案を制作会社に持ち込む《最も費用対効果が高い使い方》

AIか外注か、ではありません。AIを使ってから外注するのが最も効率的です。

自作か依頼かの二択で考えると、判断を誤ります。実務で最も成果が出ているのは、両方を使う進め方です。

AIと制作会社の役割分担

工 程担い手理 由
目的・ユーザー(読者)の整理 貴社+AI 社内の意図を言語化する作業。AIが壁打ち相手になる
構成のたたき台 貴社+AI 複数案を出して社内で叩ける
取材・原稿・撮影 制作会社 現場に行き、実物を撮り、事実を引き出す工程
デザイン・組版 制作会社 入稿要件と日本語組版を満たす必要がある
進行管理・印刷 制作会社 複数職種・クリエイター・顧客の調整と物理工程

この分担であれば、AIの速さと、制作会社の実行力の両方が活きます。 とくに「目的が曖昧なまま相談に来られる」ケースは非常に多く、そこが固まっているだけで、提案の精度も進行の速さも変わります。

AI時代に制作会社が担う価値《何が残るのか》

生成が容易になるほど、生成の前後にある工程の価値が上がります。

AIによって「作る」コストは下がりました。しかしパンフレット制作において、作る工程は全体の一部にすぎません。


現場に行き、当事者から事実を引き出す
社内の異なる意見を1つの構成にまとめる
実在する自社の設備・製品・人を撮影する
印刷条件を満たすデータに落とし込む
複数の専門職を束ねて納期に着地させる


いずれも、実際に人が動かなければ進みません。 弊社は企画・構成から取材・原稿・撮影・デザイン・印刷までを、自社のクリエイター陣で一貫して担っています。 AIが担えない領域が、そのまま弊社の業務範囲にあたります。


プロお勧めのワンポイントテクニック-02

AIで作った構成案やコピー案は、捨てずに制作会社へお渡しください。 「この案のどこが使えて、どこが実務で成立しないか」を説明できる制作会社であれば、工程を理解している証拠になります。逆に、AI案に対して具体的な指摘が出てこない場合は、企画・構成の工程を持っていない可能性があります。依頼先を見極める材料としても使えます。


よくある質問【FAQ】

Q1. AIでパンフレットは作れますか?

A1. 構成案やコピーのたたき台までは作れますが、印刷できるデータには届きません。
色方式・画像解像度・塗り足し・日本語組版(DTP)という印刷特有の条件を満たせないためです。さらに加工が必要な観音折りのマージン設定、ポケット加工等の展開設定という入稿時のデータ作成は全く不可能です。

Q2. パンフレットを作れるAIツールはありますか?

A2. レイアウト案や文章を生成するツールは複数存在します。
ただし出力されるのは画面用のデータであり、印刷入稿の要件は満たしません。用途は社内共有の資料や、たたき台の作成に向いています。

Q3. AI生成画像をパンフレットに使えますか?

A3. 商用配布物での使用はお勧めしていません。
解像度と色方式の問題に加え、権利の裏付けが取りにくいためです。また実在しない設備や人物が写るため、企業案内としても成立しません。

Q4. AIを使えば制作費は下がりますか?

A4. 発注前の要件整理にお使いいただくと、結果的に費用は下がります。
目的と構成が固まっていれば、手戻りが減るためです。一方、制作工程そのものをAIに置き換えることでの削減は見込めません。

Q5. AIで作った案を持ち込んでもよいですか?

A5. お持ちいただけます。
たたき台があると初回の打ち合わせが具体的になり、制作期間の短縮にもつながります。ただしヒアリングの結果次第では、AI作成案から大きく変わる事があることもご理解ください。

Q6. これから先、AIで完結できるようになりますか?

A6. 生成の精度は上がりますが、工程の構造は変わりません。
自社の事実を集めること、実物を撮影すること、社内の合意を取ることは、技術の進歩では代替されないためです。


AIでは届かない領域を、プロのクリエイター陣が担います。
企画・構成、取材・原稿、撮影、デザイン・組版から印刷まで、
パンフレット専科《アイムアンドカンパニー株式会社》が一貫してサポートします。
AIで作られた貴社の構成案でも、たたき台としてプロがアドバイスします。

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本ページの監修
本ページの監修者 村田 明英
村田 明英(Akihide Murata)

アイムアンドカンパニー株式会社 代表取締役社長
エグゼクティブ・プロデューサー/コラム執筆エディター

1999年の創業以来、四半世紀にわたり会社案内・パンフレット・カタログの制作に従事。
「お客様の事業支援」を理念に、累計3,000件以上の制作実績で企業のビジネスを支援。
パンフレット専科には1,700点以上の制作実績を掲載しています。

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最終更新日:2026年08月04日