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06AI時代のパンフレット制作|AIでできること・できないことを工程別に検証
AIはパンフレットのたたき台までは作れる。ただし印刷できるデータには到達しない。
生成AIの普及で、「パンフレットも自社で作れるのではないか」という声を伺うようになりました。
結論から申し上げると、構成案やコピーのたたき台までは実際に作れます。
できないのは、そこから先です。
このページでは、パンフレット制作の6工程にAIを当てはめ、
どこまで代替できて、どこで止まるのかを検証します。
AIを否定するためではなく、どこに使えば効くのかをお伝えするためです。
このページでわかること
- 制作6工程のどこまでAIが代替できるのか
- AI生成画像が印刷で使えない4つの理由
- 日本語組版という、AIが最も苦手とする領域
- 「作れる」と「社内で通る」は違うという現実
- AIを使うべき3つの場面
- AIで作った案を制作会社に持ち込むという最適解
AIの活用可否は、企画から印刷までの工程のうち「どこを自社で担い、どこを委ねるか」を決める判断材料にあたります。
結論|AIは「たたき台」まで。印刷物には届かない
生成AIでパンフレットらしきものを作ることは、すでに可能です。 問題は、それが印刷所へ入稿できるデータかどうか、そして社内で承認されるかどうかです。
AIが得意なのは、言葉と画像を「生成する」ことです。 苦手なのは、実在する自社の情報を「集める」ことと、物理的な印刷条件を「満たす」ことです。 パンフレット制作は、AIが不得意なこれら2つの工程が大半を占めます。従ってAIで完結はしません。 AIで作れるのは「パンフレットのように見えるもの」であって、「配れるパンフレット」ではありません。
制作6工程にAIを当てはめる《どこまで代替できるのか》
パンフレット制作の見積書は6つの項目で構成されます。その1つずつに、AIが代替できるかを当てはめてみます。
| 工 程 | AIの代替可否 | 止まる理由 |
|---|---|---|
| ① 企画・構成 | △ たたき台は作れる | 一般論は書けるが、自社の強みと社内の合意は持っていない |
| ② 取材・原稿 | △ 文章は書ける | 現場へ行って聞き出すことができない。実在する社内の事実を知らない |
| ③ 撮影 | ✕ 代替不可 | 自社の設備・製品・社員は、実際に撮影するしかない |
| ④ デザイン | △ 案は出る | 入稿データの要件を満たせない(後述) |
| ⑤ ディレクション | ✕ 代替不可 | 社内の意思決定と調整は人間の仕事(後述) |
| ⑥ 印刷・加工 | ✕ 代替不可 | 物理工程 |
以上△が3つ、✕が3つです。そして△の3つも、「たたき台まで」であって完成には届きません。 注目していただきたいのは、AIが止まる理由が技術の未熟さではないという点です。 AIが持っていないのは能力ではなく、貴社の情報と、現場と、意思決定です。 これらは時間が経てば解決する類のものではありません。自社の事実は、自社の中にしかないからです。
AI生成画像が印刷で使えない《4つの理由》
ここが、AIでの自作が実務で頓挫する最大の地点です。いずれも「調整すれば何とかなる」ものではなく、仕様上の非互換です。
01. 色の方式が違う《RGBとCMYK》
画面はRGB(光の三原色)、印刷はCMYK(印刷用インキの4色)で色を表現します。AIが生成する画像はRGBです。
RGBを印刷用に変換すると、鮮やかな青や緑はくすみます。特に蛍光色に近い発色は、印刷では再現できません。
画面で決めた色が、刷り上がりで別物になります。
02. 解像度が足りない
印刷に必要な解像度は、原寸で350dpiが基準です。生成画像の多くは、これを大きく下回ります。
引き伸ばせば輪郭がぼやけ、A4サイズに使えば粗さがはっきり出ます。画面上では判別できないため、刷り上がって初めて気づくことになります。
03. 塗り足しがない
印刷物は、仕上がりサイズより大きく刷って断裁します。そのため上下左右に3mmの「塗り足し」を付けたデータが必要です。
AIが出力するのは画面用の画像であり、この余白の概念を持ちません。背景を断ち切りで使うデザインは、そのままでは成立しません。
04. 商用利用の権利が確認できない
企業のパンフレットは商用の配布物です。生成画像の学習元、権利の所在、商用利用の可否は、ツールや契約により条件が異なります。
対外的に配布する印刷物で、権利の裏付けが取れない画像を使う判断は、企業のリスク管理としてお勧めできません。
| 【参照情報】要確認:印刷条件の数値をご確認ください ◎印刷解像度の基準|原寸350dpi ◎塗り足し|上下左右3mm ◎色方式|印刷はCMYK ※上記は一般的な商業印刷の基準として記載。弊社の入稿基準と差異があれば修正します。 |
日本語組版という壁《AIが最も苦手とする領域》
見落とされがちですが、日本語の印刷物には細かな決まりごとがあります。守られていないと、読み手は理由を説明できないまま「安っぽい」と感じます。
● 禁則処理(行頭に句読点や閉じ括弧を置かない)
● 約物の詰め(括弧や中点の前後の空き調整)
● 和文と欧文の間の四分アキ
● 行間・字間の設計(読ませる文章と、見せる見出しで変える)
● 縦組みでの数字・英字の扱い
これらは自動では最適化されません。組版ソフト上で、人が判断して調整する領域です。 AIが出力したレイアウト案をそのまま印刷すると、内容は正しいのに読みにくい、という状態になります。 印刷物のDTP(デスクトップ・パブリッシング)は思いのほか難易度の高い作業として、リスクが伴うため、プロに任せることをお勧めします。
企業パンフレットの品質は、多くの場合この「見えない調整」の量で決まります。
「作れる」と「社内で通る」は違う《決裁で止まる3つの場面》
仮にAIで形になったとしても、企業のパンフレットは1人では完成しません。実務でよく起きる3つの場面を挙げます。
01. 掲載内容の合意が取れない
何を載せ、何を外すか。これは技術の問題ではなく、組織・部門間の調整です。
営業は製品を厚くしたい。人事は職場の雰囲気を出したい。経営は理念を掲げたい。AIはこの調整をしません。たたき台が増えるほど、議論は発散します。
02. 写真が用意できない
生成画像には、実在しない人物と、実在しない製品が写ります。企業パンフレットに、存在しない自社の設備を載せることはできません。
結局、自社の実物を撮影する必要があり、ここでAI活用は止まります。
03. 責任の所在が定まらない
誤記や表現の問題が起きたとき、誰が確認したのかが問われます。
生成物をそのまま使った場合、社内で説明が立ちません。対外的な配布物には、内容を確認し、責任を負う人が必要です。
AIを使うべき3つの場面《正しい使いどころ》
ここまで限界を挙げてきましたが、AIが有効な場面は確かにあります。弊社も制作の現場で活用しています。
01. 要件を言語化するとき
「どんなパンフレットを作りたいか」を言葉にする作業に、AIは有効です。
目的、想定読者、伝えたいことをAIと壁打ちすれば、社内で共有できる形に整理できます。これは制作会社へ渡す要件定義そのものになります。
02. 構成のたたき台を作るとき
ページ構成の案を複数パターンを出させ、社内で叩く。
ゼロから会議で考えるより、はるかに速く進みます。ただし採用するのは「議論の起点」としてです。そのまま完成形にはしません。
03. 情報を集めて整理するとき
競合が何を訴求しているか、業界でどんな表現が使われているか。ユーザーの課題状況を知りたい。 こうした競合調査や市場分析の下調べは、AIで効率化できます。
▼プロお勧めのワンポイントテクニック-01
AIに「パンフレットを作らせる」のではなく、「発注者側の思考を整理させる」使い方をお勧めします。
具体的には、AIに次の役割を与えてください。「あなたは制作会社のディレクターです。私の会社のパンフレットを作るために、必要な情報を10個質問してください」 出てきた質問に答えていけば、それがそのまま要件定義になります。この状態で制作会社に相談されると、初回打ち合わせの精度が跳ね上がり、結果として制作期間も費用も圧縮できます。
AIで作った案を制作会社に持ち込む《最も費用対効果が高い使い方》
自作か依頼かの二択で考えると、判断を誤ります。実務で最も成果が出ているのは、両方を使う進め方です。
| 工 程 | 担い手 | 理 由 |
|---|---|---|
| 目的・ユーザー(読者)の整理 | 貴社+AI | 社内の意図を言語化する作業。AIが壁打ち相手になる |
| 構成のたたき台 | 貴社+AI | 複数案を出して社内で叩ける |
| 取材・原稿・撮影 | 制作会社 | 現場に行き、実物を撮り、事実を引き出す工程 |
| デザイン・組版 | 制作会社 | 入稿要件と日本語組版を満たす必要がある |
| 進行管理・印刷 | 制作会社 | 複数職種・クリエイター・顧客の調整と物理工程 |
この分担であれば、AIの速さと、制作会社の実行力の両方が活きます。 とくに「目的が曖昧なまま相談に来られる」ケースは非常に多く、そこが固まっているだけで、提案の精度も進行の速さも変わります。
AI時代に制作会社が担う価値《何が残るのか》
AIによって「作る」コストは下がりました。しかしパンフレット制作において、作る工程は全体の一部にすぎません。
● 現場に行き、当事者から事実を引き出す
● 社内の異なる意見を1つの構成にまとめる
● 実在する自社の設備・製品・人を撮影する
● 印刷条件を満たすデータに落とし込む
● 複数の専門職を束ねて納期に着地させる
いずれも、実際に人が動かなければ進みません。 弊社は企画・構成から取材・原稿・撮影・デザイン・印刷までを、自社のクリエイター陣で一貫して担っています。 AIが担えない領域が、そのまま弊社の業務範囲にあたります。
▼プロお勧めのワンポイントテクニック-02
AIで作った構成案やコピー案は、捨てずに制作会社へお渡しください。 「この案のどこが使えて、どこが実務で成立しないか」を説明できる制作会社であれば、工程を理解している証拠になります。逆に、AI案に対して具体的な指摘が出てこない場合は、企画・構成の工程を持っていない可能性があります。依頼先を見極める材料としても使えます。
よくある質問【FAQ】
Q1. AIでパンフレットは作れますか?
A1. 構成案やコピーのたたき台までは作れますが、印刷できるデータには届きません。
色方式・画像解像度・塗り足し・日本語組版(DTP)という印刷特有の条件を満たせないためです。さらに加工が必要な観音折りのマージン設定、ポケット加工等の展開設定という入稿時のデータ作成は全く不可能です。
Q2. パンフレットを作れるAIツールはありますか?
A2. レイアウト案や文章を生成するツールは複数存在します。
ただし出力されるのは画面用のデータであり、印刷入稿の要件は満たしません。用途は社内共有の資料や、たたき台の作成に向いています。
Q3. AI生成画像をパンフレットに使えますか?
A3. 商用配布物での使用はお勧めしていません。
解像度と色方式の問題に加え、権利の裏付けが取りにくいためです。また実在しない設備や人物が写るため、企業案内としても成立しません。
Q4. AIを使えば制作費は下がりますか?
A4. 発注前の要件整理にお使いいただくと、結果的に費用は下がります。
目的と構成が固まっていれば、手戻りが減るためです。一方、制作工程そのものをAIに置き換えることでの削減は見込めません。
Q5. AIで作った案を持ち込んでもよいですか?
A5. お持ちいただけます。
たたき台があると初回の打ち合わせが具体的になり、制作期間の短縮にもつながります。ただしヒアリングの結果次第では、AI作成案から大きく変わる事があることもご理解ください。
Q6. これから先、AIで完結できるようになりますか?
A6. 生成の精度は上がりますが、工程の構造は変わりません。
自社の事実を集めること、実物を撮影すること、社内の合意を取ることは、技術の進歩では代替されないためです。
▼AIでは届かない領域を、プロのクリエイター陣が担います。
企画・構成、取材・原稿、撮影、デザイン・組版から印刷まで、
パンフレット専科《アイムアンドカンパニー株式会社》が一貫してサポートします。
AIで作られた貴社の構成案でも、たたき台としてプロがアドバイスします。
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アイムアンドカンパニー株式会社 代表取締役社長
エグゼクティブ・プロデューサー/コラム執筆エディター
1999年の創業以来、四半世紀にわたり会社案内・パンフレット・カタログの制作に従事。
「お客様の事業支援」を理念に、累計3,000件以上の制作実績で企業のビジネスを支援。
パンフレット専科には1,700点以上の制作実績を掲載しています。
- 銀賞|ウェブサイト部門〈企業・学校PR〉の部|「プロテックエンジニアリング Product Site / Corporate Site」
- 審査委員会特別賞|映像部門〈採用系映像〉の部|「挑戦の序章」(酉島製作所)